サムスン、利益6割減で韓国経済と“ダブル危機”到来…日本による対韓輸出規制が直撃

Business Journal / 2019年10月11日 7時0分

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 韓国のサムスン電子が窮地に立たされている。

 10月8日に発表された2019年7~9月期連結決算の速報値は、売上高が前年同期比5.3%減の62兆ウォン(約5兆5500億円)、営業利益が同56%減の7兆7000億ウォン(約6900億円)だった。大幅減益ながら、同60%減だった19年4~6月期と比較すると17%の増益となっており、「業績悪化は底を打った」との見方も広まっている。

 サムスンやSKハイニックスらの企業に代表される半導体事業は、韓国の主要産業のひとつだ。韓国の半導体輸出額は最近10年で4倍以上に急伸し、18年には1000億ドル(約11兆円)を突破。現在、韓国の輸出全体の20%近くを占めているが、近年は価格が暴落し、18年後半からは米中貿易摩擦の影響で韓国の半導体輸出が激減しており、足元では前年比3割減の状態となっている。

 7月に日本が半導体材料3品目の対韓輸出管理の厳格化を決定し、その明確な影響はまだ顕在化していないものの、最先端の半導体生産には日本産の高純度のフッ化水素が不可欠とされているため、今後のサムスンの業績への影響が注目されている。

 また、サムスンは対中売り上げも急速に悪化しており、19年上半期は17兆8139億ウォンで前年同期の27兆4102億ウォンより約10兆ウォン(約8790億円)も低く、34.9%の急減となった。こちらも、米中貿易摩擦の負の影響が直撃しているといえそうだ。

 半導体に加えて、サムスンはスマートフォン事業も伸び悩んでいる。かつては絶大な人気を誇った中国市場から年内をメドに撤退することが報じられたのだ。13年には約19%のシェア(出荷ベース)で中国スマホ市場1位だったが、18年にはシェア1%未満で10位以下の圏外と完全に弾き出されている。代わって中国市場で支持を得ているのは、華為技術(ファーウェイ)やOPPO、小米(シャオミ)といった中国メーカーの製品だ。世界最大のスマホ市場である中国での失速は痛く、サムスンのスマホ事業は18年12月期の営業利益が約60%減(13年12月期比)と落ち込んでいる。

 半導体とスマホという2本柱の停滞に苦しむサムスンだが、さらに深刻な問題を抱えているという。

「今年8月、韓国最高裁は前大統領の朴槿恵被告やサムスン副会長の李在鎔被告の判決を一部破棄し、高裁に差し戻す決定を下しました。これは、いわゆる『崔順実ゲート事件』に関するもので、サムスンの事実上のトップである李被告は朴被告への贈賄罪に問われています。2審で懲役2年6月、執行猶予4年の判決を受けて釈放されていましたが、最高裁は賄賂の定義を広げるべきだと主張しており、差し戻しによって李被告は実刑判決を受ける可能性が高くなったと見られています。その場合、李被告は再収監されることになるため、サムスンは再びトップ不在の異常事態に陥ります。各事業部門への権限移譲が進んでいるサムスンといえども、経営への悪影響は避けられないでしょう」(韓国情勢に詳しいジャーナリスト)

 10月25日に始まる差し戻し審は、サムスンの命運を左右するものになりそうだ。

(文=編集部)

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