やっぱりMMT(現代貨幣理論)は万能ではないことの説明…主流派経済学との根本的違い

Business Journal / 2020年3月19日 6時20分

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米政界で議論が活発になったMMT

 米国で財政赤字の拡大を容認するMMT(現代貨幣理論)をめぐる議論が、2020年の大統領選を控えた政界で昨年活発になった。その趣旨はこうである。

「自国通貨を持つ国は、債務返済に充てる貨幣を無限に発行できるため、物価の急上昇が起こらない限り、財政赤字が大きくなっても問題ない」

 実際、日本がこの事例研究の先駆けになっているとされ、日本でも米国の論争をきっかけにMMTへの関心が高まった。

主流派経済学者が酷評するMMT

 実際、米国ではかつてGDP比の政府債務残高が100%に達した場合にインフレが急激に進む節目のリスクとして意識されてきた。だが、2012年以降にそれを突破しても、大方の懸念を覆してインフレが急上昇する兆しはない。つまり、GDP比の政府債務比率がどの水準に達した場合にインフレが急激に進むのかは明確になっていない。

 EUのマーストリヒト条約でも、原則として財政赤字はGDP比3%、政府債務残高はGDP比で60%を超えないこととする基準が示されているが、この基準から外れた国が出現しても、すぐに大きな混乱が起きているわけではない。

 一方、MMTは通貨発行権があることが条件となる。このため、債務危機に陥ったギリシャは共通通貨のユーロを採用しているため当てはまらない。また、MMTは自国通貨建て国債発行も条件となる。このため、2001年にデフォルトに陥ったアルゼンチン等も、政府がドル建て国債を発行して資金調達しているため当てはまらない。

 伝統的な政策理念に基づけば、MMTは財政赤字のつけを中央銀行に回す「財政ファイナンス」を促すため、ポピュリズム的な政策に利用されやすいとされてきた。そして、インフレの加速を招きかねず、国債価値の暴落を通じて通貨価値を棄損し、実質的な国家破綻のリスクが高まる。このため、MMTは米民主党左派や若者の支持を集める一方で、主流派の経済学者からは批判が広がってきた。

 事実、国際金融論が専門のハーバード大学ロゴフ教授は、2019年4月のIMF本部の講演で「MMTは経済理論とすら呼べない」と酷評している。また、パウエルFRB議長やサマーズ元財務長官らも含め、主流派経済学者はMMTを「異端の経済理論」としている。

主流派経済学者も財政出動容認

 日本の政府債務はGDPの240%に達し、主要先進国で突出して高い。しかし、円建ての日本国債を日銀が4割以上買い上げるだけでなく、民間貯蓄を裏付けとした国内の金融機関等が買い入れることで長期金利はマイナスである。そして何よりも、低インフレが依然として解消されていない。

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