東芝、その絶望的状況 不正会計発覚時の経営トップが再建主導、「老害」相談役の暴走

Business Journal / 2015年9月1日 6時0分

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 不適切会計問題で揺れる東芝は8月18日、9月末に発足する新体制を発表した。三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長(経済同友会代表幹事)やアサヒグループホールディングスの池田弘一相談役、資生堂の前田新造相談役など有力企業の社長OBが相次いで社外取締役に就任。東芝元会長で現相談役の西室泰三氏が人脈を使い、直接就任を依頼した。

 経営者以外では、元最高裁判事の弁護士・古田佑紀氏と公認会計士・野田晃子氏が社外取締役に就任。西室氏は法務省公安審査委員会委員を務めていた経験を持つため人脈は法曹界にも広がり、今回両氏の就任につながったという。

 8月12日の経営刷新委員会では、室町正志会長兼社長と伊丹敬之社外取締役(東京理科大教授)の2人についても「辞任すべきだ」という意見が出た。東芝は不適切会計問題をめぐり常勤役員、社外取締役の「残留と辞任」の線引きをはっきり示さなかったことから、委員会は紛糾したといわれている。室町氏と伊丹氏は問題が発覚した時期に取締役を務めているため、「室町社長・伊丹取締役会議長」という体制で経営刷新ができるのか、異論が噴出しても当然といえよう。

 一時、東芝取締役会議長に三井物産前会長の槍田松瑩氏が就任するとも報じられたが、会員制情報誌「FACTA」(ファクタ出版/9月号)は、槍田氏就任に向けた動きはあったものの、西室氏がその人事を嫌がったため実現しなかったと報じている。また、同誌によれば、三井住友銀行名誉顧問の岡田明重氏擁立の案も浮上したが、これも西室氏の意向で消えたという。

 結局、室町氏の社長続投は決まったが、取締役会議長の決定は先送りされ、同ポストは未定のまま新体制は発表された。西室氏は取締役会議長に小林氏の就任を予定していたが、「経済同友会の代表幹事も務めており、多忙」と断られた。次善の策として伊丹氏を考えていたが、8月18日時点では決まらないまま新体制をスタートせざるを得なかった。

 現在、取締役会議長には前田氏が就任する方向で最終調整中であり、8月31日の取締役会で議長人事が正式に決められる見通し。新体制は9月下旬に予定されている臨時株主総会で承認を受け、正式に発足する。


●再生へのアピール

 8月18日の記者会見では、室町氏に「室町氏の続投では再生に向けてアピールできないのではないか」との質問が飛んだ。「そういった批判はあると思うが、何カ月かたった後に結果を見て評価してほしい」と答えたが、さらに「いつまで社長を続けるのか」と聞かれ、「長く社長を務めるつもりはない。危機的な状況を乗り切った後は、若い後任に道を譲りたい」と応じた。「後任社長を1年程度で絞り込む」(東芝関係者)との見方が同社内では強い。

 また、「外国人の社外取締役は考えなかったのか」との質問には「時間が足らず、思いを達成できなかった」と東芝側は答えたが、火中の栗を拾う人物が経済界にいなかった様子がうかがえる。

 そんな中、東芝は2006年に6000億円を投じ買収し巨額ののれん代による減損リスクが懸念されている米原発子会社、ウエスチングハウスの業績を開示した。監査法人のチェックを経て「減損は必要ないと判断した」と室町氏は18日の記者会見で述べたが、この言葉をそのまま受け止める向きは少ない。

「企業統治だけでなく、事そのものを立て直さなければ市場の信頼回復はない。いまだに社内で経営の実権を握り『天皇』と呼ばれる西室氏と室町氏の体制で、果たして再建ができるのか」(市場筋)

 東芝再建に向け、残された時間は少ない。
(文=編集部)

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