横浜・偽装マンション傾斜、住民は「いくら」請求できる?建替えは「無理」?
Business Journal / 2015年10月20日 6時0分

先日来、三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市都筑区の大型マンションでマンションを支える地下杭が固い岩盤まで届いておらず、加えて地下杭の施工記録に偽装があったことが発覚し、世間を騒がせています。15日には、事業主である三井の藤林清隆社長が当該マンションの住民説明会に出席し、「このような状態になり、皆さんにご心配を掛けて申し訳ない」と謝罪するなど、大手の三井不動産グループが起こした事件ゆえに激震が走っています。
今回は、不動産関連の弁護士業のかたわら、湾岸地域のとあるマンションの理事長を務める者として、今後起こり得る法的問題について解説させていただきます。
●責任はどこに?
報道では建築の専門家などが専門的なお話をされておりますが、法律家の端くれに名を連ねる筆者は、このような問題が起こった場合に必ず3つの法的アプローチをします。
1つ目は、「契約責任」です。今回のマンションは分譲マンションですので、売り主である三井に対し、マンション購入契約に関する責任を追及することができるかもしれません。そして、契約責任を追及する場合、売り主である三井が、自分たちには「故意(問題を知っていたのにわざと売った)」も「過失(問題を知ることができたのにそれを放置した)」も一切なかったことを立証しなければ損害賠償責任を免れることができないので、マンション住民にとっては有利です。要するに、相手が「立証」に失敗すれば勝てます。
とはいえ、大手の三井不動産グループですので、「実は、問題を知っていました」「知ることができました」と認めることはまずないでしょうし、優秀な弁護団を揃えるはずなので、実際は契約責任を追及するのは難しいでしょう。
では、2つ目として、建設を担当した三井住友建設や、データ偽造などが疑われている旭化成建材に対し契約責任を追及することができるでしょうか。マンション住民はこれらの会社と契約関係にはないので、契約責任を追及することは不可能です。
もっとも、民法709条に基づいて、三井住友建設や旭化成建材の「不法行為責任」を追及することはできます。不法行為責任は、契約関係がない第三者に対しても責任追及ができるのです。
ところが、不法行為責任を追及するためには、先ほどの契約責任とは異なり、今度はマンション住民が、三井住友建設や旭化成建材の「故意(問題を知っていたのにわざと売った)」か「過失(問題を知ることができたのにそれを放置した)」を立証しなければならないので、どちらかというと不利です。要するに、こちらが「立証」に失敗すれば負けます。
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