無印良品、初の赤字転落で不振深刻…米国進出が失敗、店舗の“食品スーパー化”に活路

Business Journal / 2020年7月27日 5時50分

 良品計画の松崎暁社長はウイズコロナ・アフターコロナ時代の消費傾向として、「(1)世界的に都心よりも郊外、(2)日常的なもの、(3)ECという流れ」と指摘する。国内の全436店はショッピングセンター(SC)への出店が主力だが、SC内の店舗はSCが休業すると営業ができない。今後はロードサイドの路面店を積極化する。EC化はどの小売業も取り組んでいるが、20年2月期の国内売上に占めるECの割合は6.8%だったが、中長期的に20%に高める。また、「日常的なもの」としては主力の家具・インテリアや生活雑貨だけがターゲットではなく、目玉となるのは食品だ。

 19年4月にオープンした日本初の「MUJIホテル」に併設した旗艦店は、食を前面に出した店舗であることが話題になった。通常、無印良品の顔となる入口付近は、衣料品の売り場だが、銀座旗艦店は1階に食品売り場を配置した。ベーカリーのほか、野菜、果物、菓子、加工食品、冷凍食品、調味料、弁当、ジューススタンド、ブレンドティー工房など、“デパ地下”のつくりだ。

 松崎社長は、食品は長年の課題だったと言う。「無印良品は生活の基本となるものを扱うことを謳っているが、食の領域が欠落していた。今後は世界で食を拡大していきたい」と述べている。

 3~5月期決算はコロナの影響で主力の衣服・雑貨の売上は前期比半減したが、食品は横ばい。調味・加工は前期比23%増と大きく伸びた。冷凍食品の取扱店を44店から77店に増やした効果が出た。レトルトカレーは圧倒的な人気を博した。全扱い商品のなかで食品の売上が占める割合は11.3%と初めて10%を超えた。長期計画としては、30年に30%に高める計画だ。

 国内の緊急事態宣言解除を受け客足が戻り、6月の国内の既存店売上高は前年同月比9.5%増と久々に復調した。なかでも食品は30.6%増と大きく伸びた。衣食住に対応する「無印良品」は、衣服・雑貨は「ユニクロ」、家具・インテリアは「ニトリ」「イケア」など、強力な専門店との戦いを余儀なくされている。

 今後はスーパーマーケット業態に転換を図る。食品を主軸に衣服・雑貨、家具・インテリアを扱う総合スーパー化も一つの選択肢になりそうだ。

海外事業は中国だけが頼りの歪な構造

 力を入れていた米子会社の経営破綻で、世界戦略に試練が訪れた。

 海外展開を加速しており、前期だけでもフィンランド、スイス、オマーンに初出店し、日本以外で25の国・地域に店舗網を広げた。海外の店舗数は533店(20年2月期末時点)。国内の436店を上回った。

 海外の主軸は中国を中心とした東アジアだ。東アジアの営業収益は20年2月期が前期比1.9%増の1247億円。米国事業の11倍だ。しかし、営業利益は15.0%減の168億円。韓国と香港の赤字転落が足を引っ張った。営業損益は欧米が31億円の赤字、西南アジア・オセアニアも3億円の赤字だった。海外事業が不振に陥っているなかで、新しい柱に据えようとした米国事業が失敗した影響は大きい。

(文=編集部)

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