旧MRJ、開発中止の観測も…技術者間の対立で開発現場混乱、親・三菱重工の経営圧迫

Business Journal / 2020年8月27日 6時0分

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 国産初のジェット小型旅客機、三菱スペースジェットが離陸できなくなった、との見方が広がる。三菱重工業の収益が悪化し資金的余裕がなくなったことが大きい。

 三菱重工の2020年4~6月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が同期間で最大となる579億円の赤字(前年同期は163億円の黒字)だった。売上高にあたる売上収益は前年同期比15.4%減の7780億円、本業の儲けを示す事業利益は713億円の赤字(前年同期は404億円の黒字)。事業損益のうち傘下の三菱航空機が開発する三菱スペースジェット(旧MRJ)事業の損失が688億円生じた。研究開発費200億円のほか、開発規模の縮小に伴う約1000人のリストラ費用、カナダのボンバルディアからリージョナルジェット機CRJ事業を買収したことに伴うのれん代の減損などが含まれる。

 民間航空機事業は、米ボーイングから受注している航空機部品が前年同期比で半分以下になるという厳しさだった。B777の後部胴体、B787の主翼を製造している。777の後部胴体は前年同期の16基が6基、787の主翼は43基が18基と、いずれも半分以下に落ち込んだ。新型コロナウイルスの感染拡大による航空機需要の蒸発を受け、ボーイング向け受注が大幅に減少した。その売り上げが今後、早期に回復するとの見通しは立たない。

 21年3月期の連結売上収益は前期比6.0%減の3兆8000億円の見込み。事業利益や純利益は、それぞれゼロとの見通しを公表した。主力の発電設備事業で1000億円の事業利益を稼ぎ、航空機などの事業の損失を埋めるとしている。2期連続の大赤字になるのを避けたいとの政治的な意図が見え隠れするが、ゼロ決算にもっていくのはかなり難しいだろう。

 わずか2年前、当時の宮永俊一社長(現・会長)は21年3月期には売上高5兆円を目指す中期計画を掲げたが、スペースジェットの開発遅れとコロナ禍で中計は雲散霧消してしまった。財務内容は悪化の一途だ。6月末の自己資本比率は3月末比1.9ポイント減り22.5%。一方、コマーシャルペーパーの発行などで有利子負債残高は2894億円増えて8877億円に膨らんだ。CRJ買収に資金を使い、純現金収支は3395億円の赤字となった。財務は火の車だ。

完成機を造るノウハウ

「21年3月期にスペースジェット関連の損失額は1200億円となる見通し」。オンラインで行った決算説明会で、小澤壽人・取締役専務執行役員CFO(最高財務責任者)はスペースジェット関連費用や損失が今期の業績を圧迫すると説明した。新型コロナの感染拡大でスペースジェットの開発は事実上、中断に追い込まれている。国産初のジェット旅客機として期待されたが、機体の安全性を国が証明する型式証明(TC)を取得できず、量産初号機の引き渡しの予定が7年遅れ、開発体制の大幅な縮小を余儀なくされた。

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