ハーバード大学も財政危機の兆候…学生ローン膨張、学生ホームレスが27万人の州も

Business Journal / 2020年10月26日 18時0分

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 米ハーバード大学は10月22日、「2020年会計年度(2019年7月~2020年6月)は1000万ドルの赤字となった」ことを明らかにした。2021年度も赤字の見通しだという。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が大学の経営を直撃している。

 8月に公開された民間調査によれば、米国の大学の約4分の1が財政危機の兆候を示しているが、その要因は学生数の減少である。米国の民間調査会社が10月上旬に発表したデータによれば、今年秋に4年制大学や短期大学に入学した学生数は、昨年から16%減少し、在籍者数全体では4%減少した。留学生の数も大幅に減っている。

 今年3月、米国の大学は規模の大小を問わず、ほぼ一夜にしてオンライン授業に移行せざるを得なくなり、現在に至っている。その間、キャンパスに学生を受け入れた大学もあったが、新型コロナウイルスの感染が広がり、オンライン授業に戻らざるを得なかった。

 対面授業や課外活動、その他のキャンパスライフに付随するメリットが享受できない状況に直面した多くの学生が「高額な授業料を払ってまで大学で学ぶ価値はない」と判断したとされている。

 米国では大学卒業の資格を持たない人々は出世の階段そのものから閉め出されてしまうことから、「大学に進学しない」という選択肢はこれまではあり得なかった。だが、学歴が生涯賃金と連動するようになったことで、米国の大学の授業料は過去40年間に6倍以上に高騰したことから、コロナ禍で脱落者が相次いでいるのである。

学生ローンが次の金融危機の引き金に?

 大学教育が高くつく理由としてまず挙げられるのは、多くの大学がキャンパスなどの施設に高額な投資を行っていることである。大学の立地場所が良いことから地価も高い。だが大学教育にこのような施設は必要ではないだろう。美しいキャンパスにいるからといって良いアイデアが思い浮かぶわけではない。欧州の大学のキャンパスは米国に比べてはるかに質素である。大学教授の賃金がパートタイムとしては世界で最も賃金の高い仕事の一つであることも影響している。

 ハーバード大学に通うためにかかる費用は、授業料、部屋代、食費を含めて年間約7万ドル、教科書、健康保険、その他の必要経費を含めると8万ドル近くになる。ロースクールやビジネススクールに通うにはさらに多くの費用がかかる。

 このため学生の7割近くがローンを借りる事態となっている(借金の額の平均は約3万5000ドル)。大学の学費のために借金すると、卒業後すぐに高給の仕事に就き、「上流階級」の仲間入りをしない限り、長期にわたって借金苦に陥ることになる。リーマンショック以降の卒業生が稼ぐ給料は少なく、新たなサブプライム(信用力の低い)階級が生まれつつある。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)が10月21日に公表したレポートによれば、昨年のカリフォルニア州の学生ホームレス数は26万9000人を超えており、今後もさらに増加する見通しであるという。学生ローンを借りることは一種のギャンブルになってしまったのである。

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