ロスチャイルドが世界支配?経済危機の元凶は?陰謀論を真面目に検証してみた

Business Journal / 2016年1月15日 6時0分

野口英明氏(以下、野口) 最初にお伝えしたいことがあります。陰謀論は、私たち一般市民が、さまざまな出自の人間によって構成された政府上層部(政治家、官僚、彼らと利害関係で結ばれた業界団体のトライアングル)による権利・自由の侵害から自らを守る上で、有力な助けとなる重要な言論です。

 にもかかわらず、世の中には「陰謀論」と聞いただけで眉をひそめ、嘲笑する人たちがいます。言論人の中にも、同様に反射的に「嘘だ」と決めつける人がいます。そんな状況がある中、伝説や思い込み、決めつけではなく、事実を基にした陰謀論を展開することで読者の信頼を得たいという思いから、まずロスチャイルド伝説の真偽に迫りました。その上で、本書のテーマである「中央銀行の通貨発行権による世界支配説は本当なのか」というテーマに取り組んだわけです。

 ちなみに、陰謀論という言葉が負のレッテルとともに広まったのは、アメリカ政府諜報機関の工作によるものです。本書では、「ジョン・F・ケネディ大統領暗殺の犯人は、政府上層部だ」と主張する陰謀論者に対抗するため、CIA(中央情報局)が陰謀論を貶めるプロパガンダ作戦を指示した文書「一〇三五-九六〇」を掲載しています。

--どんなロスチャイルド伝説を検証したのか、教えてください。

野口 ロスチャイルドを語る上で避けて通れないのが、「ワーテルローの戦いで大儲け伝説」です。1815年6月18日、フランスのナポレオンが英国・オランダ・プロイセン連合軍に大敗しました。その際、当時のロスチャイルド家当主のネイサン・メイアー・ロスチャイルドが、ナポレオン敗北の知らせを独自の密使によっていち早く入手、その情報を隠し、英国債の取引で莫大な利益を上げたというものです。

●「ワーテルローの戦いで大儲け」伝説の真相

--調査の結果、何がわかったのでしょうか。

野口 この伝説は、3点に分けて調べる必要があります。第一に、戦争の結果がロスチャイルド家にもたらした影響です。ハーバード大学教授で経済史が専門のニーアル・ファーガソンは、ロスチャイルド家は連合軍の勝利で「大儲けをするどころか、もう少しで破産するところだった」と指摘し、「彼らの財産は、ワーテルローの戦いによってではなく、この戦いがあったにもかかわらず築かれた、というほうが正しい」と述べています。これがどういう意味なのかは、本書をご覧ください。

 第二は、ナポレオン敗北の情報をネイサンが英国政府に対して隠蔽したのかどうかという点です。実際には、ネイサンは手に入れた情報を直ちに政府に伝えたのですが、「公式情報に反する」として、信じてもらえませんでした。

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