ロスチャイルドが世界支配?経済危機の元凶は?陰謀論を真面目に検証してみた

Business Journal / 2016年1月15日 6時0分

 問題の根源は、通貨発行を独占する組織が過剰なお金を刷り、人々の持つお金の価値を薄めることにあります。通貨発行権が中央銀行から政府に移ったとしても、お金を刷る量に歯止めをかけなければ、問題は解決しません。

--日本では現在、中央銀行の日本銀行による異次元の金融緩和政策が採られています。

野口 中央銀行がお金を無制限に刷ることを許すと、政治圧力を受けて政府の野放図な借金(国債)をいくらでも肩代わりできるようになります。そして、現在の日米欧各国にみられるように、軍拡や福祉に金をつぎ込むことで、政府の財政がどんどん悪化するのです。

 経済評論家の中には、「自国通貨建ての借金で財政破綻することはない」と主張する向きがあります。確かに、形式的には正しいかもしれません。政府は中央銀行にお金を刷らせさえすれば、国債の利子や元本はとりあえず払うことができるからです。

 また、増税することで元利払いの原資を集めることもできます。円がいまだに安全資産といわれるのも、こうした手段を使えば、国が財政破綻する恐れは低いと思われているからでしょう。

 しかし、そのツケはいずれ、大増税や超インフレというかたちで国民に押しつけられます。実際、すでにその兆候が表れています。近い将来、年金の受給年齢が80歳からとなり、「支給するのだから、財政破綻はしていない」と強弁される可能性もあります。また「一億総老後崩壊」という言葉もよく聞かれるようになりました。一億人すべてというのは言いすぎにしても、国民の7~8割の生活が破綻したら、それは財政破綻より悪い事態といえます。

●権力を操る企業と、権力を握る政府の共謀を見抜く

--では、どうしたらいいのでしょうか。

野口 本書に着手した時点で、その問いにたどり着くことは必然だったのでしょう。ロスチャイルド伝説の検証から始まり、「では、どうしたらいいのか」の答えにたどり着くまでに、400ページ以上を要しました。

 ずさんな陰謀論者がお金について論じる際、その背後には単純な善悪二分論が見え隠れします。「政府は善、私企業は悪」という思考です。通貨発行権を政府に移せばすべてがうまくいくかのように主張するのは、意識しているかどうかは別として、政府を無条件に善だと考えて信頼するからです。しかし、これはあまりにも無邪気な態度といわざるを得ません。

--強欲なグローバル企業が世界を滅ぼす、という意見も聞かれます。

野口 確かに、過去や現在において大企業が強い政治力を持ち、それを利用して自分たちの利益を上げてきたことは事実です。政府の規制に守られ、割高な商品を売りつけたり、劣悪なサービスを無理に使わせたりして、本来ならとっくに市場から淘汰されるべき大企業がゾンビのように生き残っていたりします。

 そうしたことが可能なのも、権力を持つ政府が協力するからです。つまり、政府が協力しなければ、私企業は影響力を行使したくてもできない。一部の大企業は不公正な利益を得るために権力を操るけれど、権力を握っているのは政府です。本書によって、世界金融の本当の正体に最終決着がついたかどうか、「陰謀論」と聞いて眉をひそめる方にこそ、一読いただき、判断していただければと思っています。
(構成=編集部)

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