米国バイデン政権、MMT採用か…“新ニューディール政策”で国民の就業保証の可能性
Business Journal / 2020年11月16日 19時0分

米国のドナルド・トランプ大統領はいまだ敗北を認めていないものの、ジョー・バイデン氏が次期大統領に選出されることがほぼ確実な情勢になった。トランプ政権が移行のためのプロセスに非協力であるとのハンデはあるものの、バイデン陣営は政権発足に向けて着々と準備を進めている。
バイデン氏の選挙中のスローガンは、「Build Back Better(よりよい社会を取り戻そう)」であった。バイデン氏は民主党の中道派に属するとされているが、その公約はかなり左傾化している。今回の民主党の大統領予備選挙の前半、「民主社会主義者」を自認するサンダース上院議員やウォールストリートから敵視されているウォーレン上院議員などが活躍したことからわかるように、バイデン氏は左派の支持を得られなければ、民主党の大統領候補に選出されることがなかったからである。
左傾化の傾向を強める民主党内からは支出拡大の声が強く、バイデン氏は、大統領1期目の4年間で総額2兆ドル規模の財政支出を行うと表明している。世論調査によれば、バイデン氏が掲げた2兆ドルの経済プログラムに対して国民の3分の2が賛成している(11月6日付NewsSocra)。
バイデン政権に関する人事についての観測も出てきているが、そのなかで筆者が関心を持っているのはサンダース氏の処遇である。サンダース氏は11月11日、入閣要請があった場合、労働長官就任に応じる考えを明らかにした。「大変な苦境にあるこの国の働く家族を守るため、私にできることならなんでもしたいと思っている」と述べるサンダース氏だが、彼の経済政策顧問を務めるのはMMTを提唱するケルトン・ニューヨーク州立大学教授である。
「反緊縮」は世界的潮流日本でもMMTが話題になっているが、簡単に説明すれば「自国通貨建ての国債を発行している政府は、財政赤字を心配する必要はない。高インフレの懸念がない限り、完全雇用の実現に向けて積極的な財政政策を行うべきである」とする考え方である。
国と地方を合わせた公的債務残高のGDP比が240%に達した日本では、大方の人々の頭の中に「財政赤字=悪」が刷り込まれているが、赤字を減らすべきなのはあくまでも個人や企業の話である。通貨を発行する権能を有する政府が、自国通貨建ての国債を無制限に発行したとしても、インフレは起きることはあってもデフォルトに陥ることは制度上ありえない。
日本ではいまだに緊縮を唱える専門家が多いが、世界的な潮流は「反緊縮」が優勢になりつつある。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6月16日の米上院委員会で「財政悪化を懸念するのではなく、今は歳出増で経済再生を優先すべきである」とした上で、「米国の強力な財政余力を使うべきときである。我々もやれるべきことはやる」と財政出動を求めている。金融政策の限界が見えているからだが、その際重要なのは「賢い使い方」、すなわち必要と見込まれる分野に対し選択的に財政支出をすることである。
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