「青汁」のキューサイ、急成長と転落…相次ぐ品質トラブル、ユーグレナに飲み込まれる
Business Journal / 2021年1月6日 6時0分

ミドリムシが青汁を買収――。どちらも緑色。相性はいいのだろうか。
ミドリムシを活用した機能性食品・化粧品を展開するユーグレナ(東証1部上場)が、ケール青汁などで知られる健康食品通販のキューサイ(福岡市、非上場)を買収し、連結子会社にする方針だ。投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)、リース大手の東京センチュリーとユーグレナの3社共同出資で特別目的会社(SPC)を設立。全キューサイ株をもつコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(CCBJH、東証1部)から21年1月末をメドに保有株を買い取る。買収額は明らかにしていないが、400億円程度とみられている。
キューサイ株の“受け皿”となるSPCには、APが157億円(出資比率は約67%)、東京センチュリーが47億円(約20%)出資して主導権を握る。ユーグレナは当初30億円(約13%)にとどまるが、1年以内にSPCへの出資比率を最大49%まで高めるとしている。APと東京センチュリーからユーグレナが買い取る株式の総額は102億円。最終的にユーグレナは132億円を投下することになる。出資分は銀行からの借り入れが主体となりそうだ。
ミドリムシを使ったジェット燃料の開発を目指すユーグレナの出雲充社長は東大発のベンチャー起業家。1998年、バングラデシュに渡航した折に「栄養失調に悩む住民を目の当たりしたのが起業のきっかけ」と話す。当時18歳で東京大学の1年生だった出雲氏は農学部でバイオ技術を学び、2005年、ミドリムシを使った健康食品の製造・販売会社を設立した。
ミドリムシの大量培養技術に強みを持ち、健康食品の素材として製薬会社などにミドリムシを販売している。12年、東証マザーズに上場(14年に東証1部に昇格)した。20年5月、出雲氏は経団連の審議員会副議長に40歳という歴代最年少で就任した。
財界のお墨付きを得て、若手ベンチャー起業家の代表格となったが、本業の業績は振るわない。20年9月期の連結決算は売上高が前期比5%減の133億円、営業損益は18億円の赤字(前期は74億円の赤字)、最終損益は14億円の赤字(同97億円の赤字)だった。赤字幅は縮小しているが3期連続で赤字が続く。経団連の審議員会副議長に就いた時には、「黒字転換を最優先すべきで、財界活動は10年早い」と市場関係者から厳しい声が上がった。
市場が期待しているのはミドリムシを使ったバイオ燃料の製造である。ジェット燃料を実用化する資金を得るというのが株式上場の目的だった。売上の内訳としては、食品・化粧品などのヘルスケア事業が129億円で96%を占める。バイオ燃料の開発は実証段階で、2025年に商業プラントを建設する計画だ。世界的な脱炭素の流れのなかで将来性は見込めるものの、膨大な研究開発資金を捻出する必要がある。
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