“再建途上”三菱自動車の足を引っ張る三菱グループの思惑

Business Journal / 2012年11月5日 7時5分

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 三菱自動車工業について、夏から秋にかけての「優先株の普通株転換」が話題になっている。

 ご存じのように、三菱自動車は2000年に発覚したリコール隠し問題が、02年に起きた三菱ふそうトラック・バス製大型車のタイヤ脱落事故もからんで深刻化した。04年にはダイムラー・クライスラー(当時)に資本提携を打ち切られ、営業面だけでなく財務面もピンチに陥った。そこに救いの手を差し伸べたのが三菱グループで、三菱重工業(以下、三菱重工)、三菱商事、東京三菱銀行(当時)など主要企業各社が総額約4400億円の財政支援を行った。

 それは、三菱自動車の優先株(A種優先株式)を引き受け、同社に有利な条件で増資に応じて再建を手助けするというもの。それにより三菱重工の出資比率は15%を超えたため、三菱自動車は連結対象会社(持分法適用会社)になり、70年6月に独立するまでの母体、三菱重工の傘下に戻るかたちとなった。

 三菱重工にしてみれば、70年に「成人式」を迎えて息子が独立し、88年に上場を果たして親孝行もしてくれたのが、いい年齢をして警察沙汰、裁判沙汰を起こし三菱一族の家名に傷をつけた末、多額の借金(累損)を背負って実家に出戻ってきたようなもの。それでも名門の実家は勘当したりせず、心優しい(?)三菱の親戚たちと一緒にカネを出し、間違いを犯した息子が真人間に生まれ変わって立ち直れるよう、助けてあげていたといえよう。

 表面的には美談のように見える04年の優先株引き受けから8年がたち、三菱グループ各社が優先株の普通株転換の権利を行使し始めたということは、世間の冷たい目から守ってくれて助けてくれた実家や親戚たちも、三菱自動車の背中を押して、「そろそろ一人で歩きなさい」と促しているメッセージのように思われる。この先、優先株がすべて普通株に転換されて、三菱重工の連結対象会社を脱したら、それは三菱自動車にとって新たな旅立ち、「第二の成人式」を意味するだろう。

 だがそれは、痛みを伴う。

●普通株転換は、希薄化による株価下落を招く

 三菱グループによる三菱自動車への支援は、3回にわたり行われた。

 第1回A種優先株(当初13万株)を保有したのは、グループの要で「金曜会御三家」と呼ばれる三菱重工、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の3社と三菱UFJ信託銀行。第2回(当初3万5000株)を保有したのは東京海上日動火災保険、三菱電機、明治安田生命保険など7社、第3回(当初1000株)を保有したのはJXホールディングス(旧・三菱石油→新日本石油)である。

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