パナソニック“ご熱心”役員の“きめ細やかな”メディア掌握術

Business Journal / 2012年12月20日 6時55分

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 パナソニックは12月13日、プロゴルファーの石川遼選手との所属契約を、来年1月27日をもって満了すると発表した。同社は2008年1月に石川選手と所属契約を結んだが、2年連続で計1兆5000億円を超える当期純損失を計上し、スポンサー活動もリストラするために契約を解除することになった。同時に08年から開催してきた男子プロゴルフのトーナメント「パナソニックオープン」を、13年の第6回大会で終了することも決めた。

 今年度、パナソニックは大赤字で1950年以来の無配に転落する。株主の目も光っており、本業との相乗効果が低いスポーツ活動への支援を打ち切るのであろう。10月31日、13年3月期の第二・四半期決算会見の際にも、バスケット部とバドミントン部の休部を発表している。

 ここで不可解なことがある。パナソニックはバスケット部とバドミントン部の休部を発表した際に、野球部とバレーボール部とラグビー部は存続させることを表明した。本来ならば、すべての実業団活動が停止されてもおかしくないほどの経営危機なのに、なぜ、この3部だけが存続したのか?

 企業イメージなどの宣伝効果を考えれば、テレビの視聴率がそれほど稼げない実業団スポーツに宣伝費を投じるよりも、メディアで大きく取り上げられることの多い石川遼選手へのスポンサー活動のほうがメリットは大きいとも思われる。

●ちらつく社内政治の影

 そこにパナソニックの「社内政治」の影がちらつく。

 これには、広報・宣伝などを担当する鍛冶舎巧・専務役員の存在が大きく影響している。鍛冶舎氏は県立岐阜商業から早稲田大に進学し、六大学野球で外野手として活躍して名をはせた元名選手。プロ野球のドラフト指名を蹴って松下電器産業(当時)に入社、野球部で活躍した。現役引退後は松下電器・野球部監督を務めた。つい最近まではNHKの甲子園中継のテレビ解説も務め、わかりやすさとさわやかな語り口は、解説者人気No.1として評価が高かった。さらに、私生活を犠牲にしてまでの地元・大阪枚方での少年野球の熱血指導でも知られた。「野球入社」でありながら、社業にも励み、人事部門の経験が長く、労務担当部長として、中村邦夫社長(現相談役)時代に行った1万人リストラでも辣腕を振るった。こうした鍛冶舎氏の功績に免じて、野球部の存続が決まったのであろう。

 バレー部については、社長、会長を務めた森下洋一相談役が関西学院大学バレー部出身で、名選手として大学選手権でも活躍した。「長老」への配慮もあるのだろう。また、ラグビー部は元三洋電機ラグビー部。三洋電機を完全子会社化したことでパナソニック・ラグビー部となった。三洋電機買収に熱心に取り組んだのが中村邦夫氏。ここでも「長老」への配慮が垣間見える。

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