電子ディスプレイ広告や自販機、なぜ急速普及?企業側が個人データ蓄積&活用の懸念も

Business Journal / 2013年4月12日 7時5分

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 仮の話だが、10年前のターミナル駅に“時間旅行”で戻れたとする。2013年を生きる私たちは「何かが足りない」に違和感を覚えるだろう。そこでは、駅構内の広告は紙媒体のみ。自動販売機も缶やパックを陳列するもののみ。電子的な広告や販売機は、まだ現れていなかった。

 ところが、いまや駅や電車には「デジタルサイネージ」があふれている。デジタルサイネージとは、電子ディスプレイやオンラインシステムなどの情報通信技術を使った宣伝媒体のことだ。紙のポスターを手作業で貼り替えるのと違い、瞬時に広告を切り変えられる。もちろん動画の表示も可能だ。

 企業のサービスがマス重視から個重視へと移る中、デジタルサイネージでもその流れは加速している。その加速を象徴する技術に「顔認識技術」と呼ばれる情報技術がある。デジタルサイネージと顔認識技術の組み合わせにより、広告や販売機の前に立つ人の性別や年齢を推定したサービス提供が増えているのだ。

 顔認識技術とは、カメラが撮影した人の顔から自動的に人を識別する技術のこと。さらに、撮影した顔から機械が性別や年齢を推定する技術は、顔属性推定技術と呼ばれる。「子供の目は大きい」「年配者にはしわやたるみが目立つ」といった顔の特徴から、カメラの前の人の属性を推定していくのだ。電子機器メーカーのオムロンはこれら分野に長け、2010年には、同社技術を含む「次世代自動販売機」がJR品川駅で初登場した。人が自販機に近づくと、自動販売機が顔属性推定技術により、その人にとっての「おすすめ」を提示してくる。もはや首都圏のJR駅でなじみの光景になった。

 広告や自動販売機の前に立っている人に向けて宣伝する。サービスを提供する企業は、個重視のきめ細やかな対応ができるし、サービスを受ける消費者も自分が必要とする情報を得ることができる。

 だが、ハッピーエンドというわけにはいかない。街の中で広告の姿をしたさまざまな機械に“自分が何者であるか”を常に見られ、おすすめを伝えられることに違和感を覚える人はいるだろう。人間の店員に「この商品いかがですか」とすすめられるのは当たり前なのに。違いはどこからくるのか?

 知らないうちにカメラに自分が記録されていることに、不安や不気味さを覚えるというのは考えられる妥当な理由だ。実際、自分の意思とは別に、そのデータは蓄積されうる。

 また、情報技術の進化スピードが速すぎて、消費者側が追いついていけないという実情も背景にある。「そこまでしてくれなくてもいいのに」と感じる人は、まだ多い。

●政府でも議論始まる

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