アフラック・日本郵政提携に国内生保恐々のワケ〜かんぽ台頭、聖域・医療保険開放…

Business Journal / 2013年8月7日 6時0分

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 日本郵政とアフラックとの提携話が加速したのは、日本郵政の6月末の株主総会で元東芝会長の西室泰三・郵政民営化委員長が新社長に就いてからだ。西室氏は東芝では海外事業推進部長や東芝アメリカ社副会長を務め、財界きっての米国通を自負している。

 日米財界人会議議長の経験を持つ西室氏と、同会議を通じて知り合ったアフラック日本代表のチャールズ・レイク氏は、10年ほど前から家族ぐるみでつきあう仲だ。官邸との連携を強めた西室社長は「(提携の)最後のツメを急がせた」(日本郵政関係者)という。

 アフラックの政治力は抜きんでている。アフラックが日本代表に送り込んだのが、米国の元USTR(通商代表部)日本部長だったチャールズ・レイク氏だ。USTRはTPPを推進する米国の窓口。レイク氏は日本取引所グループ(JPX)の社外取締役も務めている。2006年から在日米国商工会議所の会頭を2期務めたほか、経済同友会の幹事などを務めてきた。そのレイク氏が提携強化のための交渉のカードに使ったのがTPPだった。

「日本郵政が郵便局のネットワークを開放すれば、米政府は保険問題に関する批判の矛先を収めざるを得なくなる」(7月28日付日本経済新聞)との見方も多いが、保険で譲歩すれば、農業問題(コメや牛肉)で米国側が譲ると考えるのは、日本の勝手な願望にすぎない。

 日本の生保市場は40兆円。米国に次ぐ世界第2位の保険大国だ。死亡時に支払われる「生命保険」では日本勢が高いシェアを持っているが、「第3分野」は外資系の牙城だ。アフラックは全体の営業利益の8割、米プルデンシャルは5割弱を日本市場で稼いでいる。外国勢にとって日本は金城湯池なのだ。

 40年越しの日米保険摩擦が、これで解消すると考えるのは早計である。米国勢の狙いは当初から、はっきりしている。1つは郵政の完全民営化によって放出される株式を取得して、郵政傘下のかんぽ生命を支配下に置くこと。2つ目は“聖域”とされてきた日本の医療保険市場の開放である。

 TPPの事前協議の段階で、米国は「第3分野の中でも日本では医療保険が売れていない。それは国民皆保険だからだ」と主張した。衣の下から鎧をのぞかせたわけだ。がんに的を絞らず、病気やけがを対象にする医療保険が米国では普及している。日本では医療保険の市場は極端に小さい。国民皆保険が行き渡っているからだ。

 アフラックは安倍首相の規制緩和策の推進で、今後解禁が予想される混合診療に関連する保険を開発し、日本郵政経由で販売することを考えている。極端な財政負担の軽減策の結果、日本の国民皆保険にほころびが生じた時が、米国勢にとって絶好のチャンスとなる。かんぽ生命でのアフラックのがん保険の販売は、これを見据えた布石である。郵便局が、がん保険を売ることに注目が集まっているが、がん保険は突破口にすぎないのだ。

●最大の目玉は、かんぽ生命?

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