かつては政治を動かした報道協会傘下の研究機関に、大手新聞社の“島流し”が横行

Business Journal / 2013年8月9日 6時0分

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 【前回までのあらすじ】
 見て見ぬふりをするのが “常識”の政治部記者のなか、業界最大手の大都新聞社の深井宣光は特別背任事件をスクープ、報道協会賞を受賞した。深井は、堕落しきった経営陣から“追い出し部屋”ならぬ“座敷牢”に左遷され、飼い殺し状態のまま定年を迎えた。今は嘱託として、日本報道協会傘下の日本ジャーナリズム研究所(ジャナ研)で平凡な日常を送っていた。そこへ匿名の1通の封書が届いた。ジャーナリズムと無縁な経営陣、ネット市場の急成長やリーマンショックにより広告が急減、部数減と危機的な現状に対し、ジャーナリストとしての再起を促す手紙だった。そしてその封書は、もう一人の首席研究員、吉須晃人にも届いていた。

 かつて、日本ジャーナリズム研究所(ジャナ研)にも輝いていた時代があった。終戦直後から70年安保闘争くらいまでの20年余りの時だ。

 ジャナ研は、日本報道協会の傘下にある研究機関である。報道協会は戦時中の大政翼賛報道への反省から終戦直後の昭和21(1946)年に新聞、通信、放送の報道に携わる企業が言論・報道の自由や表現の自由を守るために設立した社団法人で、ジャナ研はその理論武装をする組織として発足した。

 四半世紀前までは、ジャナ研の発行している季刊誌「ジャーナリスト」に掲載された論文が、政治を動かすようなこともあった。日本に民主主義を定着させる上で、それなりの役割を果たし、その研究員という肩書のステータスは高かった。

 役割が変調し始めたのは、日本がバブル経済に有頂天になっていた20年余り前からだ。そして、この10年で変質が加速した。報道協会が、いわゆる業界団体でもあるからだ。

 新聞は堕落すると、ジャーナリズムの初心を忘れ、「定価販売」の義務付けを認める再販(再販売価格維持)制度などの既得権益を守るための圧力団体でしかなくなる。その新聞業界傘下のジャナ研が、既得権益を守るための理論武装をする組織になり下がるのは自然の成り行きだった。

 ジャナ研のスタッフが権益を守るための理論構築し、政界などに自らの主張を訴えるパンフレットなどを作成したりする――。それが今の役割である。それ以外の時は開店休業状態で、誰も読まない季刊誌を出すというルーティンをこなすだけの組織なのだ。

 研究員は10名いる。季刊誌の編集に携わる研究員2名が生え抜きで、残りの8名は大都新聞社、日亜新聞社、国民新聞社の大手新聞社3社からの出向者2名ずつ計6名と、地方紙からの出向者2名である。

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