広がる高齢者を狙う詐欺〜自分を責める被害者たち救済と、悪徳業者との戦いの現場

Business Journal / 2013年8月16日 18時0分

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 ドキュメンタリー番組を日々ウォッチし続けている映画監督・松江哲明氏が、ドキュメンタリー作家の視点で“裏読み”レビューします。
【今回の番組】
 7月23日放送『ガイアの夜明け 高齢者を狙う...サギと闘う ~大切な資産を守れ~』(テレビ東京)

 「あーもしもし、ご注文いただいた健康食品、準備が整ったので送らせていただきますね」江口洋介が送りつけ詐欺をしていた。

 もちろんこれは『ガイアの夜明け』お約束の「案内」部分での演技。「頼んでない? おばあちゃん、忘れちゃったかな」と一人芝居が続くが、机に座る江口にピンポイントで当てた照明が不気味だった。

 夕方のニュースの特集枠で取り上げられそうな送りつけ商法、振り込め詐欺といった悪質商法を『ガイア』が扱うのには、どこか違和感があった。なぜなら、この番組は「様々な経済の現場で奮闘する人たちを追う」(番組HPより)ことが目的のはずだ。まさか詐欺師を追うはずはないし、騙される人々が被写体になるとも思えない。そもそも、この題材が「経済」に向いているのだろうか。

 北九州の、とあるビルに大勢の老人が入って行く。一見、質屋のようだが、ここは価値のない商品を預かり、金を貸す「偽装質屋」と呼ばれる店。通帳やカードを預かり、100%という金利で金を渡す。白い毛玉が目立つ黒いシャツを着た老人は「今日は14日、年金の日だからね」とビルに入った理由を明かす。

 カメラはビルに入り、「年金を担保に、自動で引き落とすのは違法ではないか?」と店主を問いつめる。『ガイア』ではなかなか見られないハンドマイクを突き付けるのも、「取材」を強調する演出と見た。彼は「どうしても生活費が必要です、というお客には出しました」と認める。しかし、そんな法外な金貸しが許されるはずもない。質屋の仕組みを利用した悪質な犯罪だ。これらは現在検挙されつつあるが、このように老人を狙った詐欺が横行している。

 液体燃料削減装置を開発したという省エネ技術会社への投資を募られ、110万円を「つい払ってしまった」と告白する老婆がいる。彼女は「騙された自分が悪い。先祖に謝っています」と言うが、番組に登場する老人たちは皆、自分たちを責める。その多くが電話越しの相手であったり、ATMといった機械を相手にしているからだろうか。犯人に対する恨みを口にする人たちは皆無だった。そこが現代的な犯罪だな、と思う。

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