経済社会小説をユダヤ問題と勘違いして書籍広告を拒否 事なかれ主義が蔓延する大手新聞社

Business Journal / 2013年8月16日 6時0分

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 【前回までのあらすじ】
 見て見ぬふりをするのが “常識”の政治部記者のなか、業界最大手の大都新聞社の深井宣光は特別背任事件をスクープ、報道協会賞を受賞した。深井は、堕落しきった経営陣から“追い出し部屋”ならぬ“座敷牢”に左遷され、飼い殺し状態のまま定年を迎えた。今は嘱託として、日本報道協会傘下の日本ジャーナリズム研究所(ジャナ研)で平凡な日常を送っていた。そこへ匿名の1通の封書が届いた。ジャーナリズムと無縁な経営陣、ネット市場の急成長やリーマンショックにより広告が急減、部数減と危機的な現状に対し、ジャーナリストとしての再起を促す手紙だった。そしてその封書は、もう一人の首席研究員、吉須晃人にも届いていた。旅行に出ていた吉須と4ケ月ぶりに再会し、吉須から例の封筒について話を聞こうと画策する深井だったが……

 独演会がひと段落した時には、吉須晃人は牛鍋の三皿目を3分の2近くひとりで平らげていた。

 「もう、帰ります?」
 「いや、もう一軒、静かなところに行こう。ちょっと、面白い話があるんだ」

 深井宣光が水を向けると、吉須はそう言って、手を上げた。配膳係のおばさんに支払いを済ませると、店を出た。向かった先は歩いて5分ほどのホテルだった。

 「リバーサイドホテルですか」
 「そう。そこ。もしかしたら、エキサイティングな場面に遭遇するかもよ」

 身長160cmそこそこで小柄な深井に対し、吉須は170cmを超すがっちりした体格。吉須が少し急ぎ足で歩くと、深井は並んで歩くのがやっとで、何も聞かずに吉須に従った。

 リバーサイドホテルに着くと、二人はロビーの右手にあるエレベーターホールに向かった。エレベーターに乗ると、最上階の25階のボタンを押した。

 25階のスカイラウンジには「リバーサイド・スコッチ」というバーがあった。エレベーターを降りると、「人形町もそうだけど、この辺は穴場なんだよ。銀座、赤坂、六本木あたりだと目立つけど、ここだと目立たない」と言いながら、バーに入った。

 午後8時前ということもあり、広いフロアに3組のカップルが居ただけだった。吉須は中をきょろきょろ見回し、出入口から一番離れた窓際の4人掛けのボックス席を選んだ。

 「深井君、外が見えにくいけど、そっちに座ってくれないか」
 吉須が斜めに窓を背にした席を指した。
 「いいですよ」

 深井が席に着くと、吉須はその隣、窓からビルの谷間に隅田川の流れを望める席に座った。そして、スコッチの水割りとナッツを注文した。ボーイが下がるのを見て切り出した。

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