“1強”アマゾン対楽天、競争激化で再編機運高まる出版業界〜苦境の出版社・書店の思惑

Business Journal / 2013年8月17日 14時0分

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 7月中旬に、「電子書籍3割引きキャンペーン」を相次いで打ち出し、電子書籍市場で覇を競うアマゾンジャパン(以下、アマゾン)と楽天。業界関係者によると、アマゾンの書籍・雑誌の年間売上高が1600億~1800億円にまで成長したといわれている。ネット書店では2位、3位の楽天ブックスやセブンネットショッピングを大きく引き離し、リアル書店ナンバー1といわれるカルチュア・コンビニエンス・クラブが運営するTSUTAYAの書籍・雑誌の売上高1109億円(2013年3月期)をも凌駕している状況だ。そんな“1強”アマゾンに対抗する勢力が、本格的に動き出した。

 出版社の営業幹部は言う。

 「6月初めに日経新聞がすっぱ抜き、翌日に朝日新聞が後追いで報道した楽天による大阪屋(出版取次3位)買収の件だが、楽天だけではなく、講談社、小学館、集英社の大手3社と丸善、ジュンク堂書店の親会社・大日本印刷も大阪屋に出資する。これはアマゾン1強状態に歯止めをかけたいと考えている出版社や書店が、対抗策として楽天を担ぎ出したのだろう。楽天は、12年に出版業界団体が行った、客注流通を迅速化するための実証実験にも参加していた。楽天が取次業に参入するお膳立ては、すでに整っていたと思う」

 楽天が大阪屋を傘下に加える--。これはアマゾンにとってもただごとではない。というのも、アマゾンの仕入れ先(帳合)の一つが大阪屋だからである。現在は、出版取次最大手の日販がメイン帳合ではあるが、アマゾンが00年に日本に上陸してから、大阪屋は長くアマゾンの出版流通を支えていた。先進的なネット販売を流通面で支えてきたことで、大阪屋の書籍データベースは出版業界随一ともいわれ、今でもアマゾンのシステムに迅速に対応できる出版取次は大阪屋だけと業界関係者は口を揃えるほど。長い間、アマゾンの売り上げの一翼を担ってきた大阪屋がライバル会社に買収される--この事態を重く見たアマゾンは、すぐさま手を打ってきた。

●大阪屋との取引をすぐさま中止したアマゾン

 ネット書店の営業責任者が明かす。

 「アマゾンが大阪屋との取引を中止すると聞いた。これまでアマゾンは緊急時用と通常時用の2つの取引ルートを大阪屋に設けていたが、前者は正式に楽天の子会社になった時点で取引を止めて、後者も今年12月で中止する意向のようだ。その理由は、大阪屋には当然、楽天から役員が派遣されるので、大阪屋経由の売り上げやアマゾンのシステムなどを把握されてしまうためだろう。それに、アマゾンよりも楽天への出荷を優先するようになるだろうし、アマゾンにとってはメリットよりもデメリットのほうが多くなる」

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