ヴィトンなど高級海外ブランド値上げのワケと、M&A攻勢でトラブル続出の業界の舞台裏

Business Journal / 2013年8月20日 7時0分

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 仏LVMHモエへネシー・ルイヴィトン(以下LVMH)の日本法人、LVJグループ(東京・港)は7月1日から、日本で販売する革製品を8%値上げした。円安・ユーロ高基調が続いており、輸入コストの上昇分を価格に転嫁する。

 ルイ・ヴィトンは今年2月、「品質維持やサービス向上」を理由にアクセサリーなどを平均で12%と過去最大の値上げをしたばかり。今回対象となるのは旅行かばん、財布などの主力製品だ。エルメスも7月1日から一部商品を値上げした。

 今春、海外高級ブランドの値上げが相次いだ。仏シャネルは3月に一部宝飾品を平均で5~6%、仏カルティエも宝飾品や腕時計などを平均10%値上げした。米ティファニーは4月に宝飾品などを約10%上げた。伊ヴァレンティノ、米ハリー・ウィンストンも続いた。超円高の時には、知らん顔で値下げをしなかった高級ブランドが、円安に振れた途端、輸入コストの上昇を理由に一斉に値上げすることに批判的な声も多い。

 今回も値上げの先陣を切ったのはルイ・ヴィトンである。フランスの親会社・LVMHのベルナール・アルノー最高経営責任者(CEO)は2012年12月期決算発表の席上、「日本で販売する製品価格を2月15日に引き上げる」と宣言した。

 ユーロ相場は昨年、欧州債務危機のあおりで大幅に下落。一方、12年後半に1ドル=80円台だった円相場はアベノミクスへの期待から、年明けには一気に90円台前半まで円安が進んだ。百戦錬磨の経営者であるアルノー氏は、さらに円安・ユーロ高が進行すると判断。ここが勝負どころとみて、製品価格を一気に引き上げた。

 その読みは当たり、日本銀行の黒田東彦・新総裁の「異次元の金融緩和」で円安が進み、1ドル=100円台に突入した。アベノミクスによる株高を受けた資産効果と、14年4月の消費税率の引き上げのダブル効果で、高級ブランド品の駆け込み需要が発生した。大手百貨店では、宝飾品や腕時計などの高額品の売り場に活気が戻ってきた。ルイ・ヴィトンは先行値上げによって駆け込み需要の大きな果実を手に入れ、主力の革製品の再値上げで、さらに利益が膨らむ。

 アルノーCEOの究極の経営手法は、値上げはするが値下げは絶対にしない。値下げしないことでブランドの価値を高めることだ。セールもないし、百貨店のポイントもつかない。従業員向けの特別価格も存在しない。外商も日本ではやらない。直営店以外で商品を買うことも、事実上できない。

●高級ブランドの買収で急成長したLVMH

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