苦境続くシャープとパナが陥った、選択と集中の“罠”〜一極集中を突き進んだ誤算

Business Journal / 2013年8月22日 6時0分

写真

 パナソニック、ソニー、シャープ--。巨大エレクトロニクス企業の苦境が叫ばれて久しいが、その原因のひとつとして「選択と集中の罠」を指摘する声も多い。そこで今回は、その「罠」についてシャープとパナソニックで検証してみよう。

 経営再建中のシャープは2013年6月25日、大阪市北区の大阪府立国際会議場で定時株主総会を開いた。液晶パネル、テレビ事業の不振が響き、13年3月期連結決算の最終損益は5453億円と2期連続の赤字(12年同期は3760億円の赤字)を計上した。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との資本提携が事実上、白紙となったこともあって、株主から厳しい質問が相次いだ。

 株主総会に先立って決めた人事では、副社長の高橋興三が社長に昇格した。12年に社長に就任したばかりの奥田隆司は、代表権のない会長に就くものの、取締役ではなくなる。前社長で代表権のない会長の片山幹雄はフェロー(技術顧問)として残った。相談役の町田勝彦は無報酬の特別顧問だが、シャープを離れたわけではない。

 株主総会では、主力銀行のみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)と三菱東京UFJ銀行から一人ずつ取締役を受け入れる議案を可決した。シャープは事実上、銀行管理会社になったわけだ。

 総会では、相談役の町田が特別顧問にとどまることに対して、株主から「大阪商工会議所の副会頭を続けるために肩書がいるという理由で特別顧問として残ったという説明だが、町田氏は倒産の危機に追い込んだ(最高)責任者だ」との強い批判の声が上がった。別の株主は「液晶で失敗するのは素人でもわかります」と突き放した。

 批判の矢面に立たされた元社長の町田が陥ったのが「選択と集中」という名の罠だった。

●オンリーワン経営

 町田勝彦は『オンリーワンは創意である』(文春新書)を著している。部門ごとの壁を取り払い、技術を融合させて液晶テレビ、カメラ付き携帯電話など、それまでにない「オンリーワン」の商品を生み出すまでの体験を綴った本書は、「選択と集中」の実践論として読まれた。

 1998年6月、町田はシャープの4代目社長に就任した。99年1月の年頭の挨拶で、液晶に代表される独自技術でキラリと光る「オンリーワン企業」になろうと呼びかけた。そして、「国内で販売するテレビを、05年までにブラウン管から液晶に置き換える」と宣言した。

 他社と違う特徴のある商品で安定した収益を目指すという、小が大と戦う戦略だ。町田は事業の「選択と集中」を徹底した。当時、液晶事業は規模が小さく赤字だったが、液晶は世界の最先端の技術であり、シェアではトップクラスだった。

ビジネスジャーナル

トピックスRSS

ランキング