学生のキャリアを“妨害”する、大学の非常識な実態〜コンプラ違反、学生を犠牲…

Business Journal / 2013年8月23日 7時0分

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 前回記事『大学経営の、非常識なあきれた実態〜コスト意識なし、責任回避システム、形式主義…』では、民間企業では考えられない、大学経営のあきれた実態を紹介したが、そうした組織体質が、「架空発注事件」にまで発展した例もある。

 横浜市立大学では2009年、「架空発注事件」が発覚した。大学付属の市民総合医療センターの前院長が事務用品会社に架空の発注をし、大学側から振り込まれた3500万円が業者の口座に「預け金」としてプールされていたのだ。この事務用品会社は見積書など形式を整えるだけで、実際には税金がずさんに使われていることを示す一例だ。関係者は戒告などの懲戒処分にされたが、世間的には軽い処分だろう。民間企業ならば背任や詐欺の疑いをかけられ、場合によっては刑事告訴されるかもしれない。

『キャリア妨害』(東京図書出版)の著者で、大手電機メーカー人事部門の経験を買われて横浜市立大学に転職し、キャリア支援の責任者として、学生の就職支援などキャリア開発に民間企業の発想を採り入れる改革を行ってきた菊地達昭氏によれば、大学の職員の意識や能力も低かったという。

 菊地氏が「ベンチマークしなさい」と指導しても、その意味がわからず、駅のベンチに印を付けることだと思っている職員がいたといい、また、大学の人事課長が「キャリアカウンセラー」という言葉の意味も知らなかったという。これも笑える。

 こうした能力の低さが、コンプライアンス上の問題も引き起こした。大学に転職してきたある職員は、給料などの労働条件を正式に示されなかったばかりか、採用された後に3年の契約社員であることを知らされたという。労働基準法や施行規則では、書面での提示を義務づけており、明らかに法律上問題のある行為だ。

 さらに問題なのは、大学に採用される新卒のすべての職員が3年契約の非正規雇用となっているのに、大学側は「正規職員で、契約更新回数に制限はない」と誤解を与えるような説明をしているという点だ。正規か非正規かは大きなポイントであるはずだ。

●世間の常識からずれた教員たち

 教員の発想や行動も、世間の常識からずれたものが多かった。

 ある時、菊地氏が文部科学省により義務付けられている卒業生の進路調査をするために、学長以下教員が出席する会議で情報収集への協力を求めたら、ある学部長が「個人情報の収集には学部としては一切協力できない」と言い放った。卒業生の進路情報は、進学を目指す学生や保護者にとっては参考にしたいデータであり、大学教育の成果の一つと言えるものだが……。

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