混合医療全面解禁への懸念〜経営難の病院、診療報酬増狙い保険外薬使用増やす可能性も

Business Journal / 2013年8月23日 6時0分

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 8月15日--新聞紙面の多くは、閣僚の靖国神社参拝や終戦記念日に関する記事に割かれていた。そんな中、産経新聞の一面に『米、混合診療求めず 株式会社参入も』というTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉に関する記事がひっそりと、しかし存在感をもって掲載されていた。

 内容は、「米国型の市場原理は日本の医療の世界にはそぐわない」と、TPP参加絶対反対を掲げる日本医師会や、遅ればせながらTPP交渉に懸念を示し始めた日本薬剤師会を一時的でさえも喜ばせるものだった。

 記事の具体的内容は、

・日米2国間協議で、保険診療と保険外診療の併用を認める「混合診療の全面解禁」について議論の対象としない
・株式会社の病院経営参入解禁も求めない

という内容で、日本医師会と日本薬剤師会は、「日本が世界に誇る国民皆保険制度の崩壊につながるという」という理由で、「混合診療の全面解禁」「株式会社の病院経営参入解禁」に反対している。

 だが、そもそも混合診療はすでに一部で解禁されており、今でも十分患者にかかる負担は大きい。がんや難病など、未承認薬を多く使用しなくてはいけない(または希望する)患者以外に、混合診療の大幅な拡充を求める理由はないはずだ。

 例えば、30代で胸に持病のあるAさん(独身/自由業)の場合、保険が適用される薬と併用して、非適用の薬も服用しなくてはいけない。月に2回の診察で1回で14日分の薬をもらう。診察代金は再診料と投薬料で590円、帰りに調剤薬局で安価なジェネリック薬の購入金が1280円。その他、保険外金額(10割負担)の薬が2800円。合計すると、ひと月で9340円かかる計算だ。年間で11万2080円。確定申告時に医療控除がなされるとしても、バカにならない金額だ。

「この1年で、薬代と診療代で月200円ほど上がった気がする」と語るAさんの通うクリニックは、都内でも有数の高級住宅地にある。しかし、そんなクリニックですら、

「診療代金を節約したいので、月に一度の診療にしてもらえませんか。できれば、薬は一度にひと月分出してほしい」

 と、掛け合っている患者さんの姿を見ることが増えたという。

 都内は、開業医で溢れているが、

「患者さんは争奪戦に近いですし、診療報酬が低くて、経営はギリギリです。医師が大儲けするのはいかがなものかとは思いますが、まったく金儲けするなという風潮に疑問を感じざるを得ない」

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