LCC元年、各社の明暗を分けたものとは?カギは関空、日本独特の市場環境への対応…

Business Journal / 2013年9月3日 7時0分

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 LCC(格安航空会社)就航元年といわれた2012年から1年が経過。LCC3社の明暗が分かれた。

 関西国際空港に拠点を置くANAホールディングス(以下、ANA)などが出資するピーチ・アビエーション(大阪府泉佐野市)が搭乗者数を順調に伸ばしているのに対して、成田国際空港を拠点とし、日本航空(JAL)などが出資するジェットスター・ジャパン(成田市)と、最後発のANA系のエアアジア・ジャパン(同)の2社が苦戦している。LCCの利用率は西高東低である。

 今年のゴールデンウィーク(4月26日~5月6日)の国内線搭乗率が3社の勝ち負けを鮮明にした。ピーチが91.3%を確保したのに対し、ジェットスターは78.8%、エアアジアに至っては67.6%と振るわなかった。ピーチについては「関西の居住者の利用が増えている」との分析もあるようだ。

 早くも失速したのがエアアジアである。8月1日、ANA出身の石井知祥氏が社長に就任した。就航1年で3人目の社長である。エアアジアは、ANAが51%、マレーシアのLCC・エアアジアが49%出資して12年8月1日に就航。機体数は5機で、路線数は国内5路線(成田-福岡など)、国際線4路線(成田-釜山など)である。

 ANA経営陣とマレーシアのエアアジア本体のトニー・フェルナンデスCEO(最高経営責任者)の、意見の対立があった。フェルナンデス氏は「初年度からの黒字化」という高い目標を設定し、世界共通の(チケットの)販売・運営システムの導入を日本市場でも求めた。

 一方、ANAから派遣されたエアアジアの経営陣は、フェルナンデス氏のやり方は日本の市場になじまないと反対した。インターネット上での航空券販売システムの画面が読みづらいことに加え、日本では主流の旅行代理店などを通じた団体向け販売で出遅れた。

 就航開始から今年3月までの8カ月間で、営業赤字35億円を計上。「初年度から黒字化」の目標を達成できなかった。今年4~6月期の国内線の平均搭乗率は55.5%と、採算ラインといわれる70%を大きく下回った。

 昨年12月、エアアジアの社長は岩片和行氏から小田切義憲氏に交代した。エアアジアのマレーシア本社が購入した機材をエアアジアに引き取らせようとしたが、岩片社長がそれを突っぱねたため更迭されたといわれている。これで対立は決定的となり、今年6月に合弁は解消された。ANAはエアアジア本社が保有するエアアジア株を全て引き取り、完全子会社とした。エアアジアは10月末で運航を停止し、11月1日から社名やブランド名をバニラ・エアに一新。石井社長は「リゾート客に特化して国際線に比重を置く、新しいLCCを目指す」と語った。一方、エアアジア本社は日本市場で新たなパートナーを探している。

●成田拠点のジェットスターとエアアジア

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