交際費もすべて取材費で損金処理がまかり通る巨大新聞社 社長は代々、不倫問題を抱える

Business Journal / 2013年9月6日 6時0分

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【前回までのあらすじ】
 業界最大手の大都新聞社の深井宣光は、特別背任事件をスクープ、報道協会賞を受賞したが、堕落しきった経営陣から“追い出し部屋”ならぬ“座敷牢”に左遷され、飼い殺し状態のまま定年を迎えた。今は嘱託として、日本報道協会傘下の日本ジャーナリズム研究所(ジャナ研)で平凡な日常を送っていた。そこへ匿名の封書が届いた。ジャーナリズムの危機的な現状に対し、ジャーナリストとしての再起を促す手紙だった。そして同じ封書が、もう一人の首席研究員、吉須晃人にも届いていた。旅行に出ていた吉須と4ケ月ぶりに再会し、吉須から例の封筒について話を聞こうと画策する深井だったが……

 大手新聞は、交際費として課税処理されなければならない費用も、取材費として非課税処理することが長年まかり通っていた。民主主義を守る言論報道機関という“印籠”があり、国税当局が見て見ぬふりを続けてきたからだ。大都の場合、平の記者は正当な取材費だって上司の了解を取らないと使えないが、キャップクラス以上は自由に使える。さらに、部長以上になれば、交際費も割り当てられる。

 烏山凱忠が向島に頻繁に出入りするようになったのは、政治部長時代の30年ほど前だ。そこで、カネ離れのいい烏山にすり寄ってきたのが20歳代後半で、いささか薹(とう)が立った年増芸者、秀香(ひでか)だった。もてた経験のなかった烏山が秀香に溺れるのに時間はかからなかった。そして、20年ほど前の専務時代に向島の料亭街の片隅に「バー秀香」を開店させた。

 以来、烏山は連日連夜、茶坊主どもを引き連れて「バー秀香」に繰り出すようになった。

●愛人の店に連日入り浸っていた前社長

 ナッツをつまみながら、後ろを振り向き、吉須晃人が手を上げた。ボーイを呼ぶためだった。
 「スコッチの水割りをもう一杯ずつ」

 ボーイが席にやってくると、深井宣光に同意を求めるように目配せして注文し、続けた。
 「そのバーが“アフターファイブ社長室”といわれていたところだな」
 「『バー秀香』っていう名前です」
 「そこに毎日、入り浸っていたのか」
 「特に“魚転がし事件”がわかってからは、そうだったようですね。まあ、毎日というのは誇張されているでしょうけど…。新本社ビル建設も『バー秀香』で決まったっていう話です」

 「いつも一緒だったのが谷(卓男)副社長で、松野(弥介)さんは寄りつかなかったのかね」
 「いや、そんなことないですよ。松野だって自分の社長の芽がなくなったわけじゃないから、烏山には面従腹背でした。谷の半分くらいの頻度で付き合っていました。でも、谷を後継社長にする構想も練られているのは、薄々知っていたでしょうから、途中で引き揚げることが多かったようです」
 「向島とここは近いよな」
 「ええ、近いですね。でも、なんでそんなこと聞くんですか」

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