巧妙化するリストラ・PIP最前線〜業務命令や再就職支援が、気がつくとクビ切りに…

Business Journal / 2013年9月9日 14時0分

写真

 お笑いタレント・千原せいじ(千原ジュニア)が「ホンマにやめて、(別の会社へ)行ったらええと思うんですよ」と言い放てば、タレント・神田うのは「会社も辞めさせるんだったら、なんでこの人を採るんですかねえ?」と不思議顔……午前の生活情報番組『ノンストップ!』(フジテレビ系)でのあまりに現実からかけ離れたノンキなコメントに、批判が集まっている。

 問題となったのは、8月15日放送の「追い出し部屋」特集だ。

「追い出し部屋」とは、大手企業がリストラ対象の正社員を異動させる「職務開発室」などの名称の部署のこと。「追い出し部屋」に具体的な業務はなく、その実態は、リストラ対象者を自己都合退職に追い込むために存在している。

 番組で千原は「会社のこと調べたら、そういう部署のある会社やとかわかるやんか」とピンボケ発言をしているが、バブル崩壊後の「失われた20年」の間、日本電気(NEC)、パナソニック(2008年に松下電器産業から商号変更)、ソニー、セイコーインスツルといった日本を代表する大手企業で「追い出し部屋」を使ったリストラが行われてきた現実があるのだ。

 また、08年のリーマンショック以降は、事業売却による人員削減、また海外市場に活路を求めるという具合に、国内事業縮小の動きが加速、優秀な社員までが次々と「追い出し部屋」送りとなって、退職を迫られるようになった。

 その後、手口はますます巧妙かつ狡猾になっているようだ。最近は「追い出し部屋」どころか、「PIP」の名の下に悪辣なリストラが断行されている。PIPとはパフォーマンス・インプルーブメント・プラン、業績改善計画の略称で、業務命令として、「あなたのためだから」と思いやりのあるふりをして解雇したり、退職に追い込む、新手のリストラ手口だ。

『解雇最前線 PIP襲来』(鈴木剛著/旬報社)では、3つのPIPのリストラ手口を紹介している。

 最も多いのが、達成不可能な過大なノルマを業務命令として与えるケースだ。「仕事ができない」とリストラ対象者を責め立て、過大なノルマが期限までに達成できなければ社内に居場所がないと追い込んでいく。例えば、ある不動産会社の場合、「パフォーマンス向上のための改善点」としてリストラ対象者に提示していた課題は、「3カ月間で、6つの物件の契約を」というほぼ達成不可能と思われる不利な内容だったという。

 次に「過大なノルマ」とは逆に、キャリアや実力を無視した「過小な課題を与えるケース」もある。あまりにも単純・簡単な作業のみをリストラ対象者に与えるというものだ。一例として、11年、事務機器メーカーのリコーは、技術系のスペシャリストたちを物流センターのピッキング作業(商品仕分け作業)に送り込んだ。若者に交じって単純労働を行わせ、プライドを傷つけるというパワーハラスメントだ。

●精神的に追い詰めて退職させる手口の数々

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
ビジネスジャーナル

トピックスRSS

ランキング