JAL再上場2年目の憂鬱〜コスト管理徹底で疲弊する現場と安全軽視、厳しさ増す経営環境

Business Journal / 2013年10月6日 7時0分

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 9月19日、日本航空(JAL)が再上場して1年たった。2010年1月の経営破綻後、企業再生支援機構(現・地域経済活性化支援機構)から3500億円の公的資金投入を受けて資本を増強。銀行団も5215億円の債権放棄に応じ、経営再建を支援した。

 その下で同社は不採算路線廃止、人員約1万8000人(全体の約30%)削減などのリストラを進めた結果、経営破綻から2年7カ月で再上場を果たし、「奇跡のV字回復」ともてはやされた。財務体質も13年3月期の営業費用は1兆435億円と、経営破綻前の07年3月期と比べて半減、劇的に改善している。

 同社の植木義晴社長は9月18日の定例記者会見で「社員にコスト管理意識が芽生え、自ら採算性を考えて行動するようになった」と、経営再建の成果を自画自賛。業績回復の勢いに乗り、リストラで廃止した国内約40路線のうち10路線程度を復活する考えも明らかにした。

 一見、大成功に見える「JAL再生ドラマ」だが、再上場2年目に入った今、ROE(自己資本利益率)低下など、植木社長が自信を示した財務体質に加え、いくつかの課題も浮上、成長の勢いに懸念材料も見られる。

●業績改善を生んだ社員の意識改革

 その背景を追う前に、まず2年7カ月の間、同社で行われたリストラの実態を見てみよう。

「JALの再建請負人」として、経営破綻後のJAL会長(現・名誉会長)を務めたのが、京セラ創業者の稲盛和夫氏であった。この稲盛氏の右腕として副社長(現・特別顧問)に就任し、JALへ京セラ流アメーバ経営注入を指揮したのが京セラコミュニケーションシステムの森田直行相談役だ。

 森田氏は、10年2月に「初めてJALに入った時、とても経営破綻した会社とは思えず、正常に運営している会社のような雰囲気だった。さらにびっくりしたのは『利益の感覚』が希薄なことだった」と語り、経営再建の一環として取り組んだ社員意識改革の過程を次のように振り返っている。

「JALには数字を見る人間がいなかった。予算や運航計画はきっちり作られてはいたが、作ってしまえばあとはそれを実行するのみ。予算は消化型になっており、運航計画は決められたとおりに飛行機を飛ばすことが重要とされていた。(略)しかし、現実には、市場に合わせて企業活動は変化させなければいけない。そのためにはチェックが必要だ。京セラスタイルの業績報告会を設置し、毎月細かな勘定科目ごとに予実差を説明してもらった。こうした活動を通して数字の重要性を浸透させ、さらにアメーバ経営の根幹である『小集団部門別採算管理』を実現するために、どのような組織やモノサシを作るか検討していった」

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