羽田発着枠争奪戦の舞台裏〜“優遇”ANAと自民党の蜜月、“冷遇”JALの焦り

Business Journal / 2013年10月18日 7時0分

 今回ANAが発着枠争奪戦に勝った最大の要因は、昨年12月の政権交代にある。

 民主党主導のJAL復活について、ANAと自民党は「過剰支援」だと批判してきた。自民党の政権復帰が濃厚になった昨年11月、国内線の発着枠配分で国交省が政治的判断して、ANAに有利な傾斜配分に踏み切った。だが、今回の国際線の発着枠は均等配分するとみられていた。

 しかし、7月の参議院選挙で自民党が圧勝。さらに主要官庁の幹部人事は、民主党色を払拭するために官邸主導で一新された。官僚の泣きどころは人事だ。民主党と違い自民党は、人事を使って官僚をコントロールするすべを心得ている。巨大与党の意向を無視できる国交省航空局の幹部はいない。

 JAL側は、経営の第一線から退いていた稲盛和夫名誉会長が動いた。今年5月、安倍晋三首相との会談を申し入れ、事態打開を試みたが会談は実現しなかった。

 危機感を強めたJALはロビー活動を展開。北海道エアシステム(HAC)を再び子会社にして支援することの検討や地方10路線の再開など、自民党運輸族を意識する政策を次々と発表した。

 そんなJALの焦りをよそに、9月14日、安倍首相はANAのロビー活動を指揮する石坂直人調査部長と富士山麓の鳴沢ゴルフ倶楽部(山梨県)でプレー。今夏、自民党閣僚級の外遊は、ほぼANAを利用するなど、ANAと自民党との蜜月ぶりを見せつけていた。

 政府関係者は「今回の枠配分は官邸主導で決まった」と明かす。傾斜配分を求めていたANAHDの伊東信一郎社長は「当社の経営努力が認められた。国民の貴重な財産である発着枠を有効活用したい」と歓迎した。

 一方、均等配分を主張していたJALの植木義晴社長は「根拠が不透明で不公平な配分だ」と非難。決定の見直しを求める文書を、太田昭宏国土交通相と国交省航空局長に提出した。併せて配分決定に至る過程を記した議事録など、行政文書の開示を求めた。納得する回答が得られない場合、「次のステップを考えざるを得ない」と言っており、植木社長は行政訴訟に含みを持たせた。

 株式市場にとってもここまでの傾斜配分は想定外で、JALの株価は当然一時下落したが、ANAHDも上がらない。行政にここまで左右される日本の航空業界を敬遠する外国人投資家が多いからだ。

●米国との航空交渉は難航

 来春の発着枠拡大で、羽田空港の国際化は総仕上げを迎える。ところが、目玉となる米国路線の調整が難航している。米国の航空会社の足並みが揃っていないためだ。

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