庄や過労死裁判、「残業100時間は一般的」と主張の会社、長時間残業しないと給料減

Business Journal / 2013年11月14日 14時0分

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 従業員3000人超、東証一部上場企業で起きた過労死事件の裁判で今年9月、当該企業の役員個人に賠償責任を認めた判決が確定した。過労死を生み出す制度をつくり、蔓延する長時間残業を放置してきたことが理由だ。遺族側代理人を務めた松丸正弁護士は、「社内制度が腐っていることを立証できた。腐らせた責任は役員個人にある」と述べる。遺族側はどのような立証で役員の個人責任を認めさせたのか。裁判資料と松丸弁護士に伺った話を整理した。

●大企業役員の個人責任が認められた初のケース

 この裁判は、居酒屋チェーン「日本海庄や」を運営する大庄の新入社員だった吹上元康さん(当時24歳)が、入社5カ月目の2007年8月、就寝中に急性心不全を起こして過労死した事件の損害賠償請求訴訟。大庄は、同社のウェブサイトによれば、全国に直営店649店舗(11年8月末)を展開する従業員数3176名(同)の東証一部上場企業だ。

 遺族は、会社だけではなく、平辰(たいら・たつ)社長、水野正嗣管理本部長、石村公一店舗本部長、林田泰徳第一支社長の役員4人にも個人責任があると訴えていた。地裁、高裁とも遺族の訴えを認め、会社と役員に計約7860万円の支払いを命じたが、会社側が最高裁に上告していた。その最高裁が会社側の上告を退けた。

 松丸弁護士によれば、過労死の損害賠償をめぐる裁判で、大企業の役員の個人責任が認められた初のケースだという。

●初任給に月80時間分の残業代を組み込む

 高裁判決によれば、当時、同社ウェブサイトの新卒採用情報には、初任給19万4000円と記載され、就職情報サイトでも同様だった。

 ところが、元康さんが入社してみると、月給は19万4500円で採用情報より500円多かったが、その内訳は、基本給12万3200円+役割給7万1300円だと説明された。役割給が80時間分の残業代のことだったことも判明した。

 月80時間という残業時間は、厚生労働省の過労死認定基準と等しい。しかも、大庄の賃金体系は、1カ月の残業が80時間に満たないときは、役割給から控除される仕組みになっていた。残業時間が過労死基準に達しない場合、入社前に初任給として提示されていた「本来もらえるはずの金額」がもらえないわけだ。裁判所も、「社員の心理としては、当初予定した給与を得ようとするのが通常」と認めている。

 ちなみに、基本給12万3200円は、研修で示された月173時間労働で時給計算すると、当時の大阪府の最低賃金と同額だ。

●「残業100時間は一般的」と反論

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