経済学的に正しい、低コスト“ばらまき型”予防医療とは?格差是正、医療費削減の効果も

Business Journal / 2013年11月18日 6時0分

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 数多くの大企業のコンサルティングを手掛ける一方、どんなに複雑で難しいビジネス課題も、メカニズムを分解し単純化して説明できる特殊能力を生かして、「日経トレンディネット」の連載など、幅広いメディアで活動する鈴木貴博氏。そんな鈴木氏が、話題のニュースやトレンドなどの“仕組み”を、わかりやすく解説します。  

 残念なことに欧米同様、日本も格差社会になってきている。先進国のよいところは年収300万円でも十分文化的で楽しい生活を送れることにある。居酒屋で280円均一メニューを楽しめるのも、100円コンビニで飲料や生活雑貨を手に入れられるのも、ネットカフェで3時間パック980円でパソコンもドリンクバーも漫画も使い放題なのも、日本が先進国になったおかげである。

 一方で(日本だけでなく)先進国政府の共通の悩みは、雇用のコストが下がってしまったことだ。IT化、インフラ化によって判断業務が減り、マックジョブと呼ばれる単純作業で業務が維持できるために、そのような職場で働く労働者には十分ではない給与しか回ってこない。

 格安でサービスが享受できる社会は、給与も格安な社会である。経済全体で見てもアメリカでは1980年以降、80%の労働者にとっては給与水準は横ばいか減少傾向にある。経済発展の利益の大半を享受できているのは、人口のわずか1%のエリート層なのである。

 さて、先進国の悪いところは、一旦、歯車が狂ってしまうと、さらに最下層へと落ち込んでいくリスクがあることだ。そして実際に先進国で共通する「一般層が貧困に陥るきっかけ」は病気(およびけが)である。

 私自身で考えてみてもすぐに背筋が寒くなるのだが、仮に今日から突然入院生活が始まり外部にも出ることができず、パソコンのキーボードも触れられないような状況になった途端、収入は1カ月後にはゼロになる。私のような一人で働く自営業者の場合は、普段どれだけ収入が多くても、自分がアウトになれば生活収入も即アウトになる。会社員ならある程度の期間は会社が面倒を見てくれることが期待できるが、それでも時間と程度の問題で「いつまでも」ということにはならない。

 では自分がそのような状態になるのはどのようなケースかというと、突然脳卒中で倒れる、重大な交通事故に遭う、そして危険ながんが発見されるというように、40代以降の中高年になると誰にとっても可能性のあるケースだ。

●治療より低コストな予防医療を行わないのは世界共通?

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