JR九州、なぜ赤字必至の「ななつ星」導入?不祥事、苦しい経営続くJR北と分かれた明暗

Business Journal / 2013年11月20日 1時0分

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 日本初の豪華観光寝台列車、JR九州の「ななつ星in九州」の第1便が10月15日、博多駅(福岡市)から九州一周の旅に出発した。乗客は抽選倍率13倍で当選した28人。3泊4日で料金は2人1室76万~110万円であり、乗客の多くが首都圏に住む50~60代の富裕層の夫婦だ。

「車両はオリエントエクスプレスを超えたと思う」。JR九州の唐池恒二社長が自信を見せる「ななつ星」は、欧州のオリエント急行を参考に新造された客室7両と機関車からなる豪華列車。1編成に新幹線並みの30億円をかけた。JR九州のデザイン顧問である工業デザイナーの水戸岡鋭治氏が構想を練り、古代漆をイメージしたワインレッドの車両は木材をふんだんに使って温かみと重量感を出した。シャワー室にはヒノキが張られ、客室の洗面鉢には佐賀・有田焼の人間国宝、14代酒井田柿右衛門の遺作が用いられている。ダイニングカーではバイオリンやピアノの生演奏もあり、すし職人が目の前で腕を振るう。

 JR九州は「ななつ星」を「大人の空間」と位置付けているため、小学生以下の乗車は不可で、ジーンズ、サンダルも禁止。個室にテレビは設置されていない。来年6月まですでに予約で埋まり、倍率は毎回10倍に近い。予想以上に販売が好調なため、最も高価な「デラックススイートA」の3泊4日コースの料金を、一人あたり56万6000円から70万円に引き上げる予定だ。この部屋は8両編成の最後尾にあり、巨大な展望窓が最大の売りで、最も高額だが人気が集中している。大幅に値上げしても人気は持続すると判断し、年明けに販売を始める来年7~9月分から新料金を適用する。

 JR九州の鉄道事業は赤字である。2013年3月期の連結決算によると、売上高は前年同期比3%増の3428億円、当期利益は9%減の60億円。このうち運輸サービス(鉄道事業が主)は売上高1688億円で110億円の営業赤字だ。駅ビルの不動産や外食の儲けで鉄道の赤字を補填して利益を出している。

「ななつ星」は14しか客室がなく、定員はわずか30人。1年間満室で運行しても売り上げは5億円程度のため、人件費も出ない。

●「ななつ星」導入の狙い

 ではJR九州は、なぜ赤字必至の「ななつ星」を導入したのか?

 狙いは海外からの観光客の誘致だ。鉄道事業は、少子高齢化が進む国内だけでは早晩行き詰まる。その一方、海外旅行者向けの乗り放題切符の販売は激増している。「ななつ星」を軸にして観光列車を拡充し、JR九州は海外の観光客を受け入れる考えだ。海外の観光客を呼び込む目玉が「ななつ星」というわけだ。

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