ヤフーEC出店無料化、劣勢挽回の秘策となるか?株式市場からは冷めた反応も

Business Journal / 2013年12月8日 14時0分

 このことは、昨年6月に就任した宮坂社長も十分認識していたようで、今年6月、ある媒体の取材に対して「過去1年間取り組んできた『爆速(経営)』で、EC事業の伸び悩みが唯一の取りこぼし」と反省している。自ら主導する「爆速経営」の効果で、主力のネット広告事業は順調に推移している。だが、「19年3月期までに連結営業利益を3300億円(12年3月期の2倍)」という目標達成にはEC事業の拡大が不可欠。それが自分の思うように進んでいないからだ。

 同社が今年4月に発表した13年3月期連結決算におけるEC事業を含むコンシューマ事業の売上高は、前期比5.9%増の1060億円。年率7~8%の伸びで成長しているといわれる国内EC市場の平均伸び率を下回っている。

 同社コンシューマ事業関係者は「1999年のネット通販参入以来、テナントの質を重視し、慎重に出店を認めていたため、ライバルに後れを取った」と悔しがる。

 12年度末のヤフーのネットショップ数は2万431店で、1店当たりの月商は151万円。一方、97年にネット通販へ参入し、ヤフーがライバル視している楽天のネットショップ数は4万735店で、1店当たりの月商は296万円。店舗数・月商とも楽天には約2倍の差をつけられている。

 急速に普及したスマホへの対応遅れも、楽天との差を縮められなかった一因と見られている。

 そこで「楽天に追いつき、追い越せ」(コンシューマ事業関係者)の秘策として、宮坂社長が就任前から打ち出していたのが「最強タッグ」と呼ぶネット通販他社との提携戦略だった。

 昨年5月には事務用品通販のアスクルと業務・資本提携契約を結び、330億円を投資してアスクル株の42%を取得、同契約に基づき昨年10月に日用品のネット通販サイト「ロハコ」をアスクルと共同開設した。また、今年1月にはローソンとの共同出資会社を通じて、食品のネット宅配サービス「スマートキッチン」も開始した。

 しかし、通販業界関係者は「通販市場へのインパクトが弱く、ヤフーが計画したほどの効果は上がっていない。いま秘かに計画の練り直しが行われている模様だ」と明かす。

 こうした宮坂社長のEC事業もたつきに業を煮やしたのが孫会長といわれている。

●孫会長が狙う一発逆転勝負

そのような背景があり、冒頭の「出店無料化」は宮坂社長の口からではなく、孫会長が自ら発表したのだった。

 10月7日午後、都内でヤフーが「Yahoo!ショッピング」出店社向けに開催した事業説明会「ストアカンファレンス2013」でのことだった。およそ3年半ぶりに「ヤフー取締役会長」の肩書で公の場に現れた孫会長は、メインイベントの講演会の冒頭から「今日は革命的な内容をご説明する」と切り出し、くだんの出店無料化の発表をした。業界関係者は「それだけ孫会長の強い危機感をうかがわせた」と振り返る。

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