妊娠という非効率的メカニズム~私達の体に書き込まれている「出産させないシステム」

Business Journal / 2013年12月25日 18時0分

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 こんにちは。江端智一です。

 11月8日掲載の『出産させないシステムが完成した日本~破滅衝動=結婚をなぜ越えられないのか?』では、少子化が止まらないのは、少子化こそが国民の「最適戦略」であること、そして、現在の我が国は「出産させないシステム」として完成していることを示しました。

 この少子化の「負のループバック」を壊すアプローチとして、11月29日『結婚=“幸せ”“不幸せ”拡大システムの幸せ機能が見落とされるワケ~幸せ表明がリスクな国』では、「結婚」というシステムが、一種の賭けではあるものの、ハイリターンの見込める割のいいバクチであることを、数値で示しました[図1の(A)と(F)]。

 さて、今回は、少子化問題を構成する出産年齢問題と不妊問題[図1の(C)と(E)]の概要を説明させていただきたいと思います。

●年齢と妊娠の可能性の関係

 まず、以下のグラフをご覧下さい。

 青色の棒グラフは、母の年齢別の出産数の比率を示しています。母の年齢が上がるにつれて子どもの数が減っており、特に35歳からの下落は激しいです(厚生労働省発表の『平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況』における「表2-1 母の年齢(5歳階級)別にみた出生数の年次推移」より)。

 私は当初、「年齢に応じて子どもを出産するモチベーションが下がっていくが、女性は閉経までは、概ね同じ比率の妊娠の可能性を有しているのだろう」と、思っていたのです。しかし、赤色のグラフを重ねた時、愕然としました(ARTデータブック・2011年より)。

 赤色のグラフは、不妊治療[生殖補助技術(Assisted Reproductive Technology:ART)]を行ったカップルの妊娠の成功率です。「不妊治療をする」ということは「100%出産する意思がある」ということです。それにもかかわらず、35歳で20%、40歳では10%に至っていません。もちろん、この数値が、治療を必要としていないカップルにそのまま当てはまるとは限りませんが、その傾向は同じであるはずです。数値を見る限り、20代→30代→40代→50代の順番で、妊娠成功率は、おおまかに3→2→1→0という比率で減少しています(なお、この比率は妊娠のみに着目しており、流産の結果を入れていないことに注意してください)。

この比率こそが、現在の女性にすら十分に知られていない「産みたいのに産めない」という悲劇の原因--「卵子の老化」によるものなのです。

●出産のメカニズム

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