みずほ銀の暴力団融資事件、「善管注意義務違反」で高まる取引先企業の訴訟リスク
Business Journal / 2014年1月26日 16時0分

年末も押し迫った昨年12月26日、みずほ銀行は金融庁から一部業務停止命令を受け、持ち株会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)の塚本隆史会長が辞任に追い込まれた。これは昨年9月に明らかになった、暴力団関係者らへの融資問題をめぐってのものだ。
同行をめぐっては、これまでさまざまな不祥事が報道されてきた。普通の企業であれば不祥事が続けばそれを反省材料とし、社内体制を一新するなどして問題を根源から解決し、多少なりとも改善の兆しが見えてしかるべきである。しかし同行では、そうなっていなかった。同行行員の間には「自分には関係ない」「直接的に責任をこうむる立場にない」といった雰囲気が全体に広がっており、内部ではなかなか気づかぬうちにモラルハザードが深刻化していったためと考えられる。その結果として、金融庁から業務改善命令を受ける事態にまで発展した。
当事件についてはすでに各メディアでも多く報道されているので、本稿では今回の行政処分が及ぼす影響について考察していきたい。あまり報道されていないが、業績や事業そのものの存続レベルの影響を受けるのは、実は銀行自体ではなく、業務提携しているローン会社や、その顧客企業であったりするのだ。
まずは本事件の概要を振り返ってから、今後の影響を考えてみよう。
(1)そもそも、銀行が暴力団員へ融資した経緯 みずほ銀では、同行グループの信販会社、オリエントコーポレーション(以下、オリコ)を通して、自動車や宝飾品などの購入代金を顧客に融資する提携ローンを取り扱っている。融資の審査はオリコ側で行い、その段階で問題ないと判断すれば、みずほ銀が融資する仕組み。今回は、このオリコの審査で暴力団関係者を排除することができず、融資が実行された。 (2)なぜこのような仕組みが存在しているのか銀行が直接融資するのに比べて審査の結果が早く出るため、顧客にとって便利。またオリコの保証があるため、みずほ銀にとっても貸し倒れになる危険がない。
(3)なぜ暴力団員向けの融資がオリコの審査を通ったのかオリコが審査のために用いている顧客情報の中に、暴力団関係者のデータが整っていなかったため。また提携ローンは契約後でないとみずほ銀行側では顧客情報を得られない仕組みであった。オリコは取引情報を定期的に同行に伝えており、同行が顧客情報を事後審査したところ、暴力団関係者が含まれていることが発覚した。
(4)みずほ銀側の一連の対応は、何が問題なのかこの記事に関連するニュース
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