日本の自動車、世界最大の中国市場で苦戦の理由~安倍政権の外交力のなさが国益を損なう

Business Journal / 2014年2月4日 1時0分

 こうした課題をクリアしようと中小零細の部品メーカーに中国に進出してもらう動きが加速していた矢先に、尖閣問題が発生したことで、「政治リスク」に耐えられるほどの情報収集力と資金力がない中小零細は進出を取りやめるところも目立ち始めている。この結果、日本車の競争力が低下するリスクを大きく孕んでいる。

 特に安倍晋三首相の靖国参拝は、中国では目立った反日暴動などは起きていないが、日本の中小零細企業が中国への投資からさらに腰を引く心理的な要因となっている。日中関係が悪化して、さらにカントリーリスクが高まると判断する結果になっているという意味だ。

 筆者が昨年11月末に訪問した江蘇省丹陽では、日中の政治関係の険悪化がビジネスに悪影響を及ぼしている現場を見た。丹陽は、上海から新幹線で1時間半、西に約200キロ進んだところにある。揚子江中下流域の南岸に位置し、樹脂メガネレンズや合板の世界最大級の産地としても知られる。

 そこでトヨタOBの東和男氏(66)が「東龍日聯(丹陽)企業管理有限公司」を運営している。2年前、自動車産業に長くかかわってきた東氏が自身の経験に基づく問題意識から、退職金と貯金をなげうってベンチャーとして創業した。東氏は中国駐在歴20年で、「中国の自動車産業を最もよく知る日本人」と評価されている。

 業務の内容は、日本の中小零細部品メーカーなどを誘致する工業団地を運営することだ。インキュベーション(孵化)施設のような位置づけで、入会金500万円を払って6年間の入居契約を結べば、3年間家賃は無料で、4年目以降から市価の3分の1程度の家賃で入居できる。入会金は一部を運用して、その利益を配当する。脱会時には第一期入居組には全額返金、第二期入居組には半額返金する。無駄な設備投資を避けるために入居企業がお互いに機械を貸し借りできるように運営管理会社が仲介する。互助会組織のような機能も持つ。さらに、現地従業員の採用、流通、会計、法務なども運営管理会社が有料で代行し、販売先を紹介するケースもある。進出企業はもの造りに特化すればいいシステムを採用しているのが最大の特長だ。丹陽市の協力も得て、経営体力の弱い中小下請け向きに東氏が運営を工夫している。

 尖閣問題前までは、入居企業募集のために東氏が帰国して地方の商工会議所などで講演すれば数百人近くが集まっていたのが、尖閣問題後は閑古鳥が鳴いているという。「一期工事が終わって24社入居しているが、さらに27社が入る予定だったのが4社に激減した。日中間に横たわる政治リスクを恐れて投資に腰が引けている状態。中国は今も自動車産業が絶好調でビジネス拡大のチャンスが大きいのに残念」と東氏は話す。

●安全保障の要は敵をつくることでなく、少なくすること

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