パイロットが足りない?航空業界に迫る「30年問題」、過熱する争奪戦と規制緩和への動き

Business Journal / 2014年3月9日 1時0分

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 日本航空(JAL)や全日空(ANA)をはじめ、国内航空会社がパイロット不足に頭を抱えている。いまや世界の航空業界はアジアや北米を中心に旅客需要が急増しているが、日本の航空会社は将来的にパイロット不足が深刻になり、先行きが不安視されているという。旅客機のパイロットといえば平均年収1000~2000万円ともいわれ、人気の高い職業としても知られるが、なぜ人材不足が心配される事態に陥っているのか。

 その理由のひとつは、国内航空会社が抱える「2030年問題」だ。

 実は、航空業界では30年ごろにベテラン機長クラスのパイロットが大量退職するといわれている。国内航空会社はパイロットの年齢構成が40代以上に偏っていて、なかでも経験豊富なベテラン機長は50代が中心。20~30代のパイロットは訓練生や副機長ばかりなので、このままいくと十数年後にはベテランがいっせいに定年退職し、機長クラスがいなくなってしまうというのだ。

「航空業界の構造的な問題もあります。日本の航空会社には海外のようにパイロットの派遣制度がなく、他社からの中途採用もほとんどありません。JALやANAは訓練生を新卒採用し、自社でパイロットを育成する方針をとっています。ただ、パイロットを育てるには1人につき数億円の育成費がかかるため、そのコストを考えると航空会社側もそう簡単に採用を増やすわけにはいかなかったのです。特にJALの場合は、経営破たんにともなってパイロットを大量にリストラし、訓練生の新卒採用もここ5年間は見送ってきました。こうしたことからも、将来的にパイロットが人材不足に陥ることはわかりきっていたのです」(航空ジャーナリスト)

 12年に格安航空会社(LCC)が国内に3社も誕生したのは、JALをリストラされたパイロットを大量に採用できたことも理由のひとつだったという。だが、いまやそのJAL退職組も市場に人材はいなく、LCCは大手であるJALやANA以上にパイロット確保が厳しくなるといわれる。こうしたさまざまな事情から、国交省も数年前から将来的なパイロット不足を心配していたという。

●規制緩和の動き

 では、具体的にどれくらいパイロットが不足するのだろうか。

 現在、JALには約1500人、全日空には約1800人のパイロットがいるが、ベテラン機長が大量退職する30年ごろには、LCCを含めた国内航空業界全体で約8500人のパイロットを確保する必要があるといわれる。アジアでいえば、今後5年間で2万人、将来的には現在の4.5倍にパイロット需要が増え、世界的には今後20年で50万人のパイロットが必要になるとの見通しだ。

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