春闘、ベアのまやかし?広がる正社員と非正規の格差、賃上げで消費拡大のウソ

Business Journal / 2014年3月12日 18時0分

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 労働組合側がどこまでベースアップ(ベア)を獲得できるかが最大の焦点になっている今年の春闘は、山場を迎えている。電機、自動車など大手企業の集中回答日となる3月12日を前に、日産自動車をはじめ組合要求へ満額回答する企業が相次ぐとの報道が増えている。

 こうした流れになった原因としては、 安倍政権の経済政策であるアベノミクスの成否を握る個人消費拡大へ向け、安倍首相が公然と経営側に賃金引き上げを迫ったことが大きな要因といえるだろう。しかし、春闘の結果で所得が増えるのは、労働者全体の5分の1にも満たず、かえって格差拡大に拍車をかける懸念が大きい。

●春闘を実施する労組は少ない

 この現実を説明するには、そもそも春闘とは何か、というところから始めなければならない。

 労働条件の改善をめぐる労使の団体交渉、春闘の始まりは1955年にまで遡る。炭鉱、私鉄、電機など8つの労組が「共闘会議」を結成し、賃上げ要求したのが契機だった。以後、毎年春に行われる慣行が確立し、今日に至っている。2~3月に、まず大手企業でその年度の労働条件について労使が合意し、その後、中小企業がその相場をもとに交渉、4月までにほとんどの企業の春闘は終了する。

 90年代以降は労使協調という馴れ合いが定着し、最近ではストライキらしいストライキにもめったにお目にかかれなくなった。それにもかかわらず、マスコミがこぞって報道するのだが、春闘の恩恵にあずかれるのは労組に所属している労働者だけなのだ。

●賃上げを享受するのは一部のみ

 ここで、調査数値を使って春闘のまやかしを明らかにしたい。具体的には「労働組合基礎調査(労組調査)」(厚労省)、「労働力調査」(総務省)、「賃金構造基本統計調査(賃金調査)」(厚労省)の3つの統計を使用する。

 まず、「労組調査」は労組組織率(全労働者に占める組合加入者の割合)を推計している。2013年6月末の労働者数5571万人、組合員数987万人で、組織率は17.7%。3年連続で低下し、調査開始(47年)以降の最低を更新している。

 組織率のピークは49年の55.8%、春闘史上最大のストライキで大幅な賃上げを獲得した74年でも33.9%あったが、03年には20%を割った。組合員数は94年の1269万人をピークに減少傾向が続き、11年に初めて1000万人を切った。

 それだけではない。この組織率には、労働基本権に制約があり、春闘と直接関係ない公務員の組合員約174万人も含まれている。これを差し引くと、春闘の成果を享受できる労働者は約15%にすぎないのだ。

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