吉田カバン、長く支持される秘密~積極的に他社とコラボ、異色の商品開発・人材育成法

Business Journal / 2014年4月15日 14時0分

写真

「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画や著作も多数あるジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説する。

(1)1953年に「エレガントバッグ」を発売
(2)美智子皇后が独身時代、トラッドタイプのバッグをご愛用された
(3)黒澤明監督の代表作『天国と地獄』(1963年公開)で、誘拐犯が身代金を渡すシーンに革バッグが使われた

 これらのエピソードは、いずれもビジネスパーソンからの支持が高いバッグメーカー・吉田カバン【編註:正式名称は、「吉」の「士」の部分が「土」】にまつわるものだ。(1)は狭い日本の住宅事情を考慮して、バッグの幅が調節できる「マチ幅機能」をつけたもの。(3)は同映画の重要なシーンのためにブリーフケースを3つ製作。1つは映画の中で赤い炎に包まれた。

 1935年創業の老舗メーカーには、こうしたモノづくりへの信頼感を示すエピソードも多い。だが、今や歴史の長さだけで生き残れる時代ではない。そこでどうするか。

 創業80年近い老舗が、新鮮さを保つ秘訣が“他流試合”だ。

●裏原系から老舗まで、「コラボレーション」にも意欲的

 4月18日から始まる沖縄県那覇市の百貨店リウボウで、吉田カバンの看板ブランド「ポーター」が地域の伝統生地を使ったコラボレーションバッグを売り出す。琉球王朝期の上流階級の織物「首里織」をあしらったり、伝統染物「紅型」を用いたりしたバッグを5種類販売。価格は1万7000円~2万7000円台となっている。

 意外性のある組み合わせだが、同社にとってこの手の取り組みは初めてではない。09年には「博多献上ポーター」と呼ぶコラボレーションバッグを製造した。鎌倉時代から長い歴史を持つ博多織の中でも博多献上柄は最上質の織物で、江戸時代に黒田藩から徳川幕府へ「献上」されたので、この名がついたといわれる。同商品はバッグのフラップ部分に博多献上を用いた。

 デザイン部門を統括する幹部社員は、「博多織の中でも博多献上の柄を選んだのは、博多献上の独鈷(どっこ)と華皿(はなさら)の連続化したデザインが思った以上にモダンだったからです。連続化した模様という生地は欧州にもあります」と話していた。

 古くからあるデザインでも、そこに新しさを感じれば、採用して独自商品に生かす。当サイト記事『吉田カバン、なぜ長く人気?国内生産へのこだわり、職人重視、安易に流行に乗らない』で、人気のキーワードとして「流行ではない新しさ」と指摘したが、これらの取り組みもそれに当たる。

ビジネスジャーナル

トピックスRSS

ランキング