毎週“MOZUれる”幸福?暴力、狂気、喫煙…タブーを超越し、迎合を排したドラマの格

Business Journal / 2014年5月31日 14時0分

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 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。

 とにかく格が違う。世の中の風潮や空気に一切迎合せず、迫力のある映像にするための努力と労力と金を惜しまず、洗練と凶悪を同居させた今クール(4~6月期)の連続テレビドラマが『MOZU Season1~百舌の叫ぶ夜~』(TBS系)である。当初、西島秀俊と香川照之のやさぐれテイストをメインに期待していたのだが、うっかり感動(というか驚愕)してしまったのは、池松壮亮と吉田鋼太郎の理不尽な凶暴さだった。

 実は暴力的なシーンはあまり好きではない。怖いし、痛そうだし、声には出さずとも目をきゅっとつぶってしまうほうである。ホラーやスプラッター、心霊モノなどは極力避けて通ってきたクチだ。廃墟となった病院で、池松がナース服を着て次々と人を殺していくシーンは、正直、手と脇の下にイヤな汗をかいた。正気を失った黒目コンタクトも、アイスピックを持った未完成な女装もマジで怖い。サイコ映画に登場するレベルだった。

 対する吉田も吉田で往生際が悪く、「ヒャッホーイ!!」と叫びながら命を奪い合おうとする狂気といったら、もう! 昨今のドラマではなかなかお目にかかれない殺生シーンで、制作側の気合と屈強な精神をひしひしと感じた。池松と吉田の動きも、見せかけのアクションにとどまらず、アドレナリン全開で殺気を醸し出す迫力。観ていてじわーっと心拍数が上がったほど、壮絶であった。

 暴力シーンや喫煙シーンにいちゃもんつける人(現実とフィクションの差もわからない了見の狭い人々)も大勢いるが、イヤならテレビの電源切れば済む話。北野武映画のように単純な暴力ではなく、それを育んだ背景と環境、内在する狂気を描いているわけだし、暴力を手放しで礼賛する内容でもない。これくらい、他と差別化を図り、テレビドラマ界を盛り上げてくれる作品はそうそうない。先陣を切ってタブー(実際にはタブーじゃなくて、ただの自粛と萎縮なんだけど)を超越する姿勢はおおいに評価すべきだ。

 これまでのところ、私の印象では主役は完全に池松だが、西島や香川の家族背景や弱みも丁寧に描かれたりしている。「きなくささ」だけでなく「人間くささ」もきちんと追求していた。長ったらしいセリフはあまりなく、最小限のフレーズに「その人となり」が表れるよう配慮されているようにも思える。役者の実力なのか、脚本演出の妙なのか。1時間を1時間と感じさせない構成にも感心する。嗚呼、完全に「MOZUラー」である。

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