ボーイング737MAX運航再開、国交省は性急な認可は禁物…墜落の危険性、解消されず

Business Journal / 2021年1月23日 5時50分

 報告書が引用した内部告発者の情報によると、ボーイングは試験飛行のパイロットらに事前に「(特定の)ピックルスイッチを忘れずに正しく操作せよ」と指示。指示を受けたパイロットの反応時間は約4秒となった一方、これまで米議会の公聴会での証言では、パイロットは反応に約16秒かかったとのことであった。

 737MAXの開発をめぐってパイロットがコックピット内の非常事態にどのように反応するかをボーイングが十分に考慮していなかったという報告が、相次いでなされてきたことも忘れてはならない。上院で再承認プロセスに関して懸念が表明されたのを受けて、墜落事故被害者の遺族は20年12月22日、FAAと運輸省に対し737MAXの運航再開許可を取り消すよう求めたのである。

 私がここで強調したいのは、FAAが指定したテストパイロットでさえ、MCASの誤動作に対して速やかかつ適切な回復操作を簡単に行えるものではないという点である。MCASの誤作動は、スタビライザー(水平安定板)のランナウエー(連続して一方方向に動くこと)という現象を引き起こすが、パイロットにとってこのランナウエー・スタビライザーというトラブルは最も回復操作の難しい緊急操作であり、訓練を重ねたとしても離陸直後のように高度が十分ない所で発生すると、優秀なパイロットでも確実に墜落を防げるものではない。

 今般、ボーイングがパイロットのチームをつくり、航空会社に派遣してパイロットに教育指導せざるを得ないという点を見ても、MCASの誤作動からの回復は極めて難しい操作なのである。加えて、世界のLCCを含む多くの航空会社においてパイロットの技量不足も散見されるなかで、訓練を付加しただけで問題が解決するとは到底思えない。

MCASが搭載された理由は

 そもそも、これまでほかの航空機にはなかったMCASというシステムは、なぜ737MAXに初めて搭載されるようになったのか。その要因としては、新型エンジンとその取り付け位置が挙げられる。737MAXには、従来型の737より約14%の燃費向上と搭乗旅客数の増大を目的として、ファン口径の大型化などパワーアップしたエンジンが取り付けられた。しかし、従来の737の主翼には、それを直に取り付けることができず、パイロンで主翼前方に突き出すとともに、地面とのクリアランス(間隔)を確保するように、従来の737より、若干上方および前方に移動させる必要が生じた。

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