神戸市肝入り先進病院、なぜ破綻?他病院で断られた患者を手術、死亡例7割は多いのか

Business Journal / 2016年4月9日 6時0分

 神戸市は「iPSで世界を変える」など景気のいいことを言うが、実感が湧かない。先端医療を商品化して利益を上げるのは民間企業なのに、この地域では民間の活気が感じられないからだ。むしろ衰退している。ポートピアホテルの横にあった「バンドール」というホームセンター、KIFMECの傍にあったスーパー「イズミヤ」はなくなっていた。

 医療関係で、ショールームのようなところに出店している民間企業はあるが、あくまでお付き合いという感じだ。ここで本気で商品開発や研究をしようという企業は多くない。これでは、神戸市の計画は絵に描いた餅だ。

 今こそ神戸市は市民に情報を公開し、計画を見直すべきではないか。そもそも、ポートアイランドは、高度成長期に神戸市が住居の供給を増やすため、六甲山麓を削り、埋め立てた人工島だ。そのオープニングセレモニーが81年のポートピア’81だった。

 ポートアイランドには多くの住民が移住し、多くの商業施設が新設され、大盛況だった。当時、神戸市は「株式会社神戸市」といわれ、自治体経営のモデルとして全国から賞賛された。味をしめた神戸市は、87年からポートアイランドの二期拡張工事を始めた。このときできたのがKIFMECのある場所で、一昨年、国家戦略特区に認定された。

 ところが、今や閑古鳥が鳴いている。バブル経済の破綻、95年の阪神・淡路大震災での液状化が影響している。苦境を打開すべく、神戸市は政府機関や外郭団体を誘致したのだろう。そのなかで数少ない民間事業がKIFMECだった。ところが、それを潰してしまった。

●問われる自助努力

 神戸は民間の町だ。江戸時代は漁村だった。発展のきっかけは神戸港の開港だ。大勢の外国人、および一旗あげようとする流れ者がやってきた。そして交わった。ここから鈴木商店、その系列の神戸製鋼や帝人が出た。ダイエーや、たとえは悪いが山口組も神戸出身だ。

 私の母校である私立灘高校は、神戸の造り酒屋である菊正宗、白鶴を経営する嘉納一族が設立した。開学当初から「日本一の学校にする」と言い、40年目に東大合格者日本一を実現した。ちなみに嘉納一族は流れ者ではなく、江戸時代からの名家だ。

 かくのごとく、神戸は民間人が立ち上げた町だ。江戸時代に雄藩の城下町で、それが発展した武士の町ではない。古くは灘の酒屋、明治以降は神戸港を中心に商売人がつくった。

 ところが昨今、神戸の衰退は著しい。人口で福岡市にも抜かれた。民間に元気がないからだ。KIFMECのケースでは、お上にすがり、せっかくの民間のチャレンジャーを潰してしまった。このままでは神戸の将来は暗い。

 では、どうすればいいのだろう。

 自助努力するしかないと思う。幸い、田中医師は「もう一度神戸でやる」と言う。倒れても、また立ち上がる。彼のような人材こそ、神戸に必要だ。神戸の皆さん、ぜひサポートいただけないだろうか。神戸のためにも、筆者も彼を応援したいと思う。
(文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長)

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