ブラジルでIHI、三菱重、川崎重が壊滅…こぞって進出&巨額投資、こぞって巨額損失&撤退

Business Journal / 2016年5月5日 6時0分

 川崎重工業は15年4~12月期にブラジルの造船事業に関連した損失を計上した。川重が受注し、坂出工場でつくる船体などの評価損を特別損失として192億円、3割を出資する現地造船会社エンセアーダへの出資金や貸付金の評価損を営業損失として28億円、合計で221億円を特別損失として処理した。

 造船業界では中国・韓国勢が台頭するなか、ブラジル沖で開発が進む大型油田やガス田向けの資源掘削船の需要が見込めるブラジルの造船所に対し、日本勢は一斉に出資に踏み切った。

 しかし、最終顧客であるブラジルの国営石油会社ペトロブラスは、汚職問題による混乱が長引き造船会社への支払いができなくなった。さらに原油価格の低迷で開発プロジェクトが停滞した。当てが外れた造船各社は見切りをつけ、ブラジルから撤退することになったわけだ。

 90年代に日本企業は肩を並べてブラジルに進出したが、儲からないとなると津波が引くように撤退した。今回も造船各社は横並びで進出し、一斉に撤退する。「みんなで渡れば怖くない」という行動パターンはちっとも変わっていない。これでは、日本企業に対する不信感をブラジル人に植え付けるだけだろう。

●新日鐵住金、キリンHDは大苦戦

 そのほかの日本企業もブラジルで大苦戦している。新日鐵住金は3月、持分法適用会社で経営難に陥っているブラジル鉄鋼大手、ウジミナスが実施する300億円の追加増資を引き受けた。

 ウジミナスはブラジル経済の低迷に加え、中国の鉄鋼メーカーによる輸出攻勢で打撃を受け、経営が悪化。15年12月期の連結決算で1200億円の純損失を計上した。ウジミナスを共同運営するアルゼンチン鉄鋼大手のテルニウムと新日鐵住金の主導権争いは、鉄鋼業界ではよく知られている。

 12年から新日鐵住金とテルニウムがウジミナスを共同経営する体制になった。14年9月、テルニウム出身の社長の解任に新日鐵住金が賛成。テルニウムが反発し主導権争いが激化し、どちらが降りるかといったチキンレースの様相を呈した。

 新日鐵住金にとって高炉一貫製鉄所であるウジミナスは、トヨタ自動車などに鋼板を供給する有力な海外拠点であり、どうしてもテルニウムに負けるわけにはいかないのだ。

 キリンホールディングス(HD)は15年12月期の最終損益が473億円の赤字となった。1949年の上場以来初の赤字だ。不振が続くブラジル子会社ののれん代など、1140億円の特別損失を計上したことによる。

 キリンHDは2011年に3000億円を投じてブラジル大手、スキンカリオール(現ブラジルキリン)を買収した。ブラジルはビール販売量で中国、米国に次ぐ世界第3位の大市場で、年率5~6%の成長が続いていた。キリンHDは、ドル箱になるとソロバンを弾いてM&Aに踏み切った。

 ところが、買収直後からブラジル経済は失速。まったく当てが外れた格好になった。株式市場では、「キリンHDはブラジルキリンを売却してブラジルから撤退する」と観測する向きが多い。BRICsの成長幻想に飛びついてブラジルに進出した日本企業は、今や満身創痍なのである。
(文=編集部)

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