為替の変動相場制、失敗が決定的…企業の多大な損失や国家間紛争が生まれる理由

Business Journal / 2016年7月29日 6時0分

 政府の気まぐれな通貨増発の結果、為替相場は不安定になる。米国はいつでも基軸通貨のドルを刷って海外から物を買えるので、国際収支の赤字を垂れ流し続けられる。自国通貨を切り下げて一時的に輸出を増やしやすいため、金融政策と貿易をめぐる国際対立が起こりがちで、その政治調整に多大な手間暇がかかる。これらはフリードマンが予期しなかった誤算である。

 冒頭で示した疑問への答えはもうわかっただろう。政府が為替の急激な変動は望ましくないと言いつつ、固定相場制に戻さないのは、通貨を自分の都合で好き勝手に増発できなくなってしまうからだ。
今の国際金融市場で巨額の資金がめまぐるしく移動するのは、民間でグローバル経済が発展したからではない。政府が大量の通貨を発行するからである。19世紀から20世紀の初めは金本位制に基づく固定相場制の時代だったが、経済のグローバル化は大きく進展した。

 今では固定相場制などと言えば、多くの人が現実離れした仕組みと感じることだろう。しかし変動相場制の歴史はニクソン・ショック以来、半世紀足らずでしかない。それ以前の時代は、固定相場制でも国際経済は十分発展したのだ。

 国際金融市場の不安定化で変動相場制の限界が見えてきた今、固定相場制を頭から荒唐無稽と決めつけず、国際通貨制度のあり方を原点に立ち返って考えてみてはどうだろうか。
(文=筈井利人/経済ジャーナリスト)

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