新聞、最大のタブー「残紙」訴訟本格化で業界存亡の危機か…弁護士らが反対運動を展開

Business Journal / 2017年4月27日 6時0分

 縦糸のメディア各社は記者クラブに属しており、同じ管理下で同じ情報を得て連携して動いています。そのため、同じ情報が同時に大量生産される構造になっているわけです。

 そして、メディア各社はコンテンツ制作については芸能事務所と癒着し、広告収入については電通、博報堂など寡占市場の広告代理店に依存しています。メディアに対して大きな力を持つ芸能事務所と広告代理店を「横糸」と呼びましょう。

 この縦糸と横糸が編み込まれるかたちで、相互に依存すると同時に巨大な既得権益をつくり上げてしまっているのです。しかし、この芸能事務所や広告代理店についても、今はさまざまな問題が表面化しており、かつてのような力は失われ、それがメディア崩壊の一端を担っているともいえます。

●テレビ局の電波利用料は携帯電話会社の13分の1

――広告最大手の電通では、新入社員の過労自殺をきっかけに長時間労働が問題視され、厚生労働省の強制捜査が入ったほか、社長が交代する事態になりました。また、芸能界では、昨年末のSMAP解散に伴うジャニーズ事務所の内紛が広く報じられました。

渡邉 メディアに対して大きな力を持つ広告代理店や芸能事務所にとって都合の悪い情報が露呈している現実は、既得権益が崩れ始めていることの象徴でしょう。これまで、新聞やテレビは「報じない自由」を最大の武器としてきました。対象となる組織や人物にとって都合の悪い情報を恣意的に報じないことで、ロビー力を強めてきたのです。

 しかし、そうしたメディアの特権も、ネットやSNSの普及によって崩壊しつつあります。詳しくは本書に譲りますが、近年はネット発の議論や問題提起を大手メディアが後追いするという構図も見られます。たとえば、昨年物議を醸した民進党の蓮舫氏の二重国籍問題は、言論プラットフォーム「アゴラ」で指摘されたことに端を発するものです。

 また、ネットの世界では基本的に権威主義が否定されます。そして、各分野のプロフェッショナルがSNSなどを通じて即時かつ直接的に情報発信することが可能です。そのため、場合によっては、テレビや新聞に出ている頭に「御用」がつく学者や評論家よりも、ネット発の専門家のつぶやきのほうが信頼できるということもあり得るわけです。

――メディアのもうひとつの代表的存在であるテレビについては、いかがでしょうか。

渡邉 まず問題視されるべきは、電波利用料に関する優遇です。電波は公共財であるため、総務省によって事業者に割り当てられ、事業者は電波利用料を支払っています。

 しかし、テレビ局の利用料は携帯電話会社の13分の1(それぞれ一番負担額が大きいNHK とNTTドコモを比べた場合)という安さです。これは、放送の公共性が認められているためですが、そのわりには放送法や日本民間放送連盟の「番組基準」に違反していることが疑われるような広告まがいの放送も多く見受けられます。

 また、今後はネット同時配信の動きが進むことで、相対的にテレビ局の価値は希薄化していくでしょう。しかしながら、テレビ局は広告単価の減少などを恐れて、視聴者にとっては利便性が高まるはずのネット同時配信に二の足を踏んでいる状況です。

 そうした旧態依然の体質ゆえに、テレビや新聞は今や「レガシーメディア」「オールドメディア」と呼ばれているわけです。
(構成=編集部)

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