モンスター「役職定年」社員が職場を壊す? 映画『マイ・インターン』が理想の姿
Business Journal / 2018年1月7日 16時0分

日本企業には、「役職定年」なる不可思議な制度が存在する。大手企業の約半数がこの制度を導入している。役職者の上限年齢を定め、ポストの明け渡しによる管理職の新陳代謝を図っているのだ。結局、管理職の実力発揮の正味期限を概ねその年齢に設定し、役員へ登用されるごくひと握りの管理職を除いて全員が、この年齢で管理職を卒業し、後進に道を譲るというのが常道になっている。これまでは、部長は57歳、課長は55歳あたりの年齢が多かったが、徐々に若年齢化する傾向にある。実際に、50歳と再設定した企業もすでに出てきている。
定年は、年齢的に職務を全うできるのはここまでと線を引くもので、役職定年は、部長や課長としての職務を全うできるのはここまでと線を引くもの。また、役職者がいつまでもその任に就いていたら、下の世代の社員が役職者になれないので、一定年齢で強制的に退いてもらうという意味合いも大きい。本来は実力で登用も解任もすべきであるが、このあたりが日本企業的なところであり、賃金や昇進昇格もおおよそ年功序列であった一方で、役職からの解任も年齢で一律に切るということだ。確かに、社内人口の多いバブル入社組が50代に差し掛かっているため、年齢を引き下げて一斉退去でもしてもらわなければ、いつまでたっても下の世代は役職に就けないという事情もあるだろう。
このように、会社にとっては組織の若返り、新陳代謝を意図した制度ではあるが、当の50代社員にとってはたいへん複雑な気持ちに違いない。これまでがんばってきたのに、肩書きも権限もなくなるし、給料も下がる。やりがいのある仕事はできなくなる。もう会社から必要とされなくなるという思いを抱いても仕方がない。“お払い箱“という言葉が頭をかすめる。2000年前後の人事制度改革以降、会社は散々、成果主義や実力主義と言ってきたではないか。ここへ来てまた年齢を持ち出すのは理に合わない、と50代社員たちは言いたくなるだろう。
役職定年であっても、定年と同様の喪失感を味わうことも多い。あるいは、会社に勤め続けながら、明確な役割を失う、居場所も失うということでは、より精神的なダメージは大きいかもしれない。役職を解かれて、それで何をするかといえば、関連会社へ出向というケースもあるが、多くは専門職等の扱いで、年下の上司の下で仕事をすることになる。アドバイザーやスーパーバイザーなど、よくわからない呼称を付けられたり、あるいは参事や理事という資格呼称が用いられることも多い。
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