積水ハウスが抱える爆弾…詐欺事件の調査報告書の一部を隠蔽か、阿部会長に責任逃れの疑い

Business Journal / 2018年4月20日 0時0分

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 派閥抗争に明け暮れる企業のトップ人事は難航するのが常だ。戸建て住宅の最大手、積水ハウスは、4月26日に定時株主総会を開催する。

 東京・五反田のマンション用地詐欺事件をきっかけに、会長の和田勇氏が解任されるクーデターが起きた。闘いに勝利した阿部俊則・新会長(前社長)、仲井嘉浩・新社長(前常務執行役員)を中心とする新経営体制による初の株主総会だ。

 総会では、取締役11人の選任議案が諮られる。1月のクーデターにより、2月1日付で取締役相談役に退いた和田氏が取締役を外れる。和田氏支持派は、伊久哲夫・取締役副社長をはじめ常任監査役など3人がすべて退任し、新たに常任監査役2人を選ぶ。

 これに対して、阿部氏を支持した内田隆・取締役副社長執行役員は代表取締役副社長に昇進する。新任取締役は2人で、社外からは吉丸由紀子・ニフコ執行役員が加わり、社外取締役は3人になる。

 この人事案に議決権行使助言会社が噛みついた。米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)と米グラスルイスの2社は、阿部会長と稲垣士郎副会長(前副社長)の取締役選任に反対を推奨した。マンション用地の詐欺事件をめぐる情報開示の姿勢を問題視したためだ。

 グラスルイスは、パナソニックで顧問を務めた鶴田龍一氏を社外取締役に選ぶことにも、「独立性が十分でない」として反対を推奨した。

 ISSの反対推奨に呼応する投資家が出てくる可能性は十分にある。会社側は、人事案の決議に必要な過半数は取れないとみているが、不確定要素が増えたことは間違いない。

●調査報告書の全文を公表しない事情

 詐欺事件の責任問題をうやむやにしていることを、議決権行使助言会社は問題にしている。

 1月24日、積水ハウスは取締役会を開催した。実は、取締役会の直前に開いた人事・報酬諮問委員会では「賛成多数で阿部氏の退任を決めていた」(関係者)という。同委員会は社外役員3名以上で構成されている。

 これに続いて開かれた取締役会で、和田氏は同委員会の諮問に基づき、阿部氏の解職案を提示したが認められなかった。逆に、阿部氏が和田氏の解職を提案。多数派工作に敗れた和田氏は会長退任に追い込まれた。

 詐欺事件に関する調査対策委員会の調査報告書の全文は公表されていない。調査対策委員会は昨年9月に設置された。委員長は社外監査役の篠原祥哲氏(公認会計士)、委員が社外監査役の小林敬氏(弁護士)、社外取締役の三枝輝行氏(元阪神百貨店会長、現サエグサ流通研究所代表取締役)、社外取締役の涌井史郎氏(東京都市大学特別教授)の3人だ。

 積水ハウスは3月6日、報告書の概要を公表したが、阿部氏の具体的関与について触れていない。3月8日の取締役会では、社外役員らが「会社にとって都合の良いところだけまとめている。全文公表してほしい」と批判したという。

 なぜ、全文公表に踏み切れないのか。報告書は、阿部氏について「経営上、重い責任がある」と言及していた。

「『業務執行責任者として、取引の全体像を把握せず、重要なリスクを認識できなかったことは、経営上の重い責任がある』。そして、この取引を最初に決裁したのは阿部氏だったことも記されている」(「日経ビジネス」<日経BP/4月16日号>)

 全文を公表したら、株主総会で経営責任を追及されるのは必至。とはいえ、それを避けるために全文公表しないのではないかと批判する声が高まっている。現経営陣は株主総会を乗り切るまでは「忍」の一字だ。

 積水ハウスの株主総会は波乱の様相を呈している。
(文=編集部)

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