世界大手・曙ブレーキ、経営危機で私的整理…約30年も信元社長君臨の経営の代償

Business Journal / 2019年3月8日 8時0分

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 トヨタ自動車が筆頭株主のブレーキ世界大手、曙ブレーキ工業は2019年3月期の業績予想を下方修正した。最終損益は20億円の黒字を見込んでいたが、従来予想から一転、192億円の赤字(前期は7億8200万円の黒字)とした。不振が続く米国などで生産設備の減損損失を150億円計上したのが響いた。売上高は2432億円(前期比8%減)、営業利益は4億円の赤字(前期は81億4300万円の黒字)に転落する見込み。

 同社の再生のポイントは何か。4点を挙げる。

●地銀に融資の返済を迫られADRを申請

 ひとつは金融支援だ。同社は1月末に私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)制度の利用を申請し、金融機関に資金繰りの支援を求めた。1月31日付日本経済新聞は、こう報じている。

「1月初め、ある地方銀行が債務の返済を曙ブレーキに強く迫ってきたのが引き金だった。(中略)曙ブレーキはメインバンクと協議してADRを申請することを決めた」

 米国事業の苦戦で財務体質が悪化したことがきっかけだ。

 18年4~12月期の連結決算は、最終損益が177億円の赤字(前年同期は22億5900万円の黒字)。その結果、株主資本が49億円のマイナスとなり、財務制限条項に抵触し、1089億円ある有利子負債を計画通り返済するのが難しくなった。決算短信に、経営に赤信号が点ったことを意味する「継続企業の前提に関する注記」を記載した。

 2月12日に、東京都内で第1回の債権者会議を開き、取引金融機関から借入金の返済の「一時停止」について同意を得たと発表した。借入金の返済計画を見直す。4月8日と6月11日にも債権者会議を開き、事業再生計画案を決議する予定だ。

 ADR申請は銀行の決算に影響を与えた。武蔵野銀行の18年4~12月期連結決算は最終損益が12億円の赤字(前年同期は88億円の黒字)となった。曙ブレーキがADR手続きを申請したのに伴い、曙ブレーキへの貸出金70億円を全額引き当てたため、不良債権処理費用が大幅に増えた。

●トヨタは増資を引き受けるか

 2つ目は増資問題だ。株主資本が49億円のマイナスになったため、増資によって埋め合わせる必要がある。1月30日付日経新聞は、トヨタの増資の動向を探っている。

「同社はトヨタ自動車の増資の引き受けを含めた支援を打診している。一方、トヨタは『ADRの利用については聞いているが、増資要請にはついては受けていない。現段階で仮定の件についてコメントできない』(渉外広報部)としている」

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