「カメラが売れない!」ニコン、経営への懸念広まる…主力のデジカメ市場“蒸発”の衝撃

Business Journal / 2019年3月21日 6時0分

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 今年に入ってわが国の株価の上値が重い。その背景には、企業業績の下方修正が相次いでいることがある。10~12月期の企業業績が比較的堅調な米国の株式市場とは対照的だ。

 2月8日、デジタルカメラの世界大手である、ニコンの株価が前日比11%超下落した。下落の最大の原因は、同社の経営戦略に対する懸念の高まりだろう。近年、同社にとって収益の柱であるデジタルカメラをはじめとする映像事業や、フラットパネルディスプレイ(FPD)を製造するFPD露光装置や、半導体の製造に用いられる装置などを手掛ける精機事業の収益力が低下している。

 これは、同社の事業環境の変化に対する対応が十分ではなく、今後の経営戦略の道筋が見えないことを反映していると見られる。これからの展開を考えたとき、やや気がかりなのは、ニコンが新しい製品の創造や事業体制の整備に手こずっていることだ。同社が売上高を増加させ、配当の引き上げなどを実現できるか慎重に考える市場参加者は増えている。4月1日から、ニコンの社長には常務執行役員を務めてきた馬立氏が昇格する。同氏がどのようにして収益基盤を強化し、ステイクホルダーからの期待に応えるか注目したい。

●最近のニコンの収益状況分析

 ニコンの収益は、海外市場におけるデジタルカメラとFPDや半導体の製造に用いられる装置の販売動向に左右される。それは、同社の事業・収益構造を見るとよくわかる。

 ニコンの事業セグメントは4つに分類される(映像事業、精機事業、ヘルスケア事業、産業機器・その他)。売上に占める各事業の割合は、デジタルカメラなどを扱う映像事業が50%程度、半導体装置などを扱う精機事業が30%前後、ヘルスケア事業と産業機器等の事業が10%ずつだ。地域別にみると、売上高の90%近くが海外から得られている。

 近年、ニコンはデジタルカメラと半導体装置事業で苦戦を強いられてきた。まず、デジタルカメラ市場の縮小は、かなり深刻だ。その理由は、多くの人々が、スマートフォンで写真(静止画)や動画を撮るようになったからだ。

 カメラ映像機器工業会が公表する「デジタルスチルカメラ生産出荷実績」によると、2008年、わが国のデジタルカメラ総出荷台数は1.1億台だった。2018年の出荷台数は1900万台と、10年間で市場規模は激減した。プロ仕様のカメラなどハイエンド機種への需要はあるものの、出荷台数が激減し市場全体の縮小がすさまじいマグニチュードで進むなか、ニコンがデジタルカメラ関連の収益を増やすことは困難だ。

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