「カメラが売れない!」ニコン、経営への懸念広まる…主力のデジカメ市場“蒸発”の衝撃

Business Journal / 2019年3月21日 6時0分

 2019年3月期の第3四半期、ニコンは増益を確保した。これは独蘭企業からの和解金支払いに支えられた。本業の収益は減少傾向をたどっている。

●ニコンに必要な新しい収益源
 
 現在、多くの市場参加者にとって、ニコンの収益力が高まる展開は想定しづらくなっている。どちらかというと、先行きの収益下振れを警戒する投資家は多いようだ。なぜなら、デジタルカメラに代わる“稼ぎ頭”が見当たらないからだ。

 見方を変えれば、市場参加者は、ニコンが現在の事業構造に変革を起こすことができるか否かに注目している。足許、米国を中心にIT先端企業の成長期待は低下している。世界の半導体市況がピークを越えたとの見方も増えている。2018年10~12月期、半導体大手の韓国サムスン電子の営業利益は前年同期比で29%減少した。液晶パネルや半導体関連の装置需要が低下するとの懸念は高まっている。また、デジタルカメラ市場では、価格競争が一段と熾烈化する恐れがある。

 現在の事業セグメントを前提に考えると、ニコンはヘルスケア事業の収益力増強に取り組まなければならない。特に、顕微鏡技術などを活かした再生医療分野への取り組みが重要になるだろう。

 問題は、ニコンのヘルスケア事業が営業赤字に陥っていることだ。比較的短い期間でヘルスケア事業の黒字化を実現するためには、同社が強みを持つ分野に集中して取り組むことが必要となるだろう。その意味で、ニコンにとって選択と集中の重要性は、従来に増して高まると考えられる。状況によっては、重要性が高まる分野に重点的に経営資源を再配分するために、ニコンがさらなる変革に取り組む展開もあるだろう。

 2020年3月期以降、ニコンは年間60円以上の配当を支払う方針を示している。現状の収益環境を基に考えると、それが実現できるか否かは不確かだ。同時に、2016年11月以降の取り組みによってニコンの収益性が改善したことは事実だ。今後、同社の経営陣が自社を取り巻く環境を、客観的かつ的確に把握し、デジタルカメラに代わる製品の創造や、再生医療分野での収益獲得にさらにコミットしていくことが同社の成長に欠かせない。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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