新幹線、なぜ途中で運営元JR会社が変わっても運賃は通算?あえて会社が損する不思議

Business Journal / 2019年4月7日 10時0分

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 鉄道業界は2019年早々、波乱の幕開けを迎えた。1月9日には、京王電鉄が100パーセント株式を保有する子会社で旅行会社の京王観光がJR旅客会社の新幹線の列車や特急列車を利用した団体旅行において、顧客からは指定席特急券分の金額を受け取ったにもかかわらず、実際には購入せずに不正に利益を得ていたと報じられた。2月8日には福岡市交通局から地下鉄の駅での業務を委託されたJR九州サービスサポートの社員が使用済みの1日乗車券を拾得し、不正に使用したという。

 どちらの行為も、JR旅客会社であるとか福岡市交通局の規定に照らし合わせると違反は明らかだ。JR旅客会社は6社で共通の旅客営業規則を定めており、JR東日本がまとめたものを参照しよう。一方、福岡市交通局は「福岡市高速鉄道乗車料金等条例施行規程」を見るとよい。

 京王観光の場合、JR旅客会社の旅客営業規則の第57条に違反している。同条では新幹線の列車や特急列車に乗るには普通乗車券に加えて特別急行券、一般的な言い方では特急券を購入しなければならないとある。京王観光は、特急券の一種である指定席特急券をなんらかの事情があって買えなかったのではなく、故意に購入しなかったのであるから、不正といわれてもやむを得ない。

 JR九州サービスサポートの社員が違反したのは福岡市高速鉄道乗車料金等条例施行規程第48条第1項第8号だ。条文を見ると、乗車開始後の乗車券を他人から譲り受けて使用した場合、その乗車券は無効となると定められている。したがって、同社の社員が1日乗車券を購入したのであれば問題はない。福岡市交通局によれば、「平成31年1月29日(火)交通局ホームページ『お客様の声』に『使用済みの切符を駅員がポケットに入れる行為を見た』とのご意見をいただいたため」、調査を行った結果、不正と認定したのだという。

●時代にそぐわない旅客営業規則

 新幹線の列車や特急列車に乗るときには特急券を購入する必要があり、乗車開始後の乗車券を他人から譲り受けて使用しない――。これらがなぜ認められていないかを説明しよう。

 特急券は、移動の速達性を旅客に提供している点を根拠として設定されている。これらのうち、新幹線の特急料金は国土交通大臣の認可を受けて設定される決まりであるから、JR旅客会社が好きなだけ請求できるというものでもない。

 乗車開始後の乗車券とは、堅苦しく言うと旅客が鉄道会社との運送契約に基づいて旅行を開始した証書となる。したがって、譲渡や質入れ、裏書きなどを認めると乗車券にでも記されていない限り、運送契約を取り交わした相手を変える行為は禁止されると解釈すべきだ。

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